市議会議員選挙の費用はいくら?内訳と、公費負担で持ち出しを0円に近づける方法

市議会議員選挙に出たい。でも、いくらかかるのかがわからない。ネットで調べると「200万円」「300万円」という数字が並んでいて、そこで手が止まってしまう。そんな状態でこのページにたどり着いた方が多いはずです。
結論から言えば、市議会議員選挙の費用は「法律上避けられないお金」と「工夫で減らせるお金」に分かれます。そして減らせる部分は、あなたが思っているよりずっと大きいです。この記事では、費用の内訳を項目ごとに分解し、公費負担(選挙公営)でどこまで賄えるのかを、実際の自治体の条例の数字で確認していきます。2026年1月に変わった選挙カーとポスターの規格、公費の外にかかる人件費の上限まで、一度に整理します。
この記事でわかること
結論:市議選の費用は「法律上避けられない30万円」から始まる
市議会議員選挙で、法律上どうしても必要になるお金は供託金の30万円です。政令指定都市の市議会議員選挙なら50万円になります。これは公職選挙法第92条で全国一律に決まっている額で、値切ることも分割することもできません。
逆に言えば、法律が支払いを義務づけているのはこの30万円だけです。選挙カー、ポスター、ビラ。いわゆる「選挙の三点セット」と呼ばれるものには、公費負担という制度があります。条件を満たせば、これらの費用を自治体が業者へ直接支払ってくれます。
ネット上でよく見かける「市議選には200万〜300万円かかる」という数字は、事務所を借り、スタッフを雇い、公費の枠を超えて印刷物を作った場合の総額です。私たちが支援してきた候補者のなかには、公費負担の枠を正しく使い切ることで、持ち出しを大幅に抑えた方が何人もいます。
この記事の要点
- 法律上避けられないのは供託金30万円だけ。得票が届けば全額返ってきます
- 選挙カー・ポスター・ビラは公費負担の対象。上限額の範囲内なら自治体が業者へ直接支払います
- 上限額は自治体が条例で定めるため、地域によって金額が違います
- ただし一定の得票に届かなければ公費負担は1円も出ません。ここが最大の注意点です
- 2026年1月から、選挙カーは乗車定員10人以下・車両総重量3.5トン未満、ポスターは長さ42cm・幅40cm以内に規格が変わりました。公費の単価は変わっていません
市議会議員選挙の費用の内訳
費用を「法定でかかるもの」「公費負担が使えるもの」「全額自己負担のもの」の3つに分けて見ていきます。この分類ができると、どこを削れるのかが一気に見えるようになります。
供託金:30万円(返ってくる可能性がある)
供託金とは、立候補するときに法務局へ預けるお金です。売名目的やいたずらでの立候補を防ぐために設けられています。一定の得票を得れば全額返還されます。当選したかどうかは関係ありません。落選しても、基準の票数に達していれば戻ってきます。
選挙の種類ごとの額は公職選挙法で決まっています。
| 選挙の種類 | 供託金 | 没収されるライン(没収点) |
|---|---|---|
| 市議会議員選挙(指定都市以外) | 30万円 | 有効投票総数 ÷ 議員定数 × 1/10 |
| 指定都市の市議会議員選挙 | 50万円 | 有効投票総数 ÷ 議員定数 × 1/10 |
| 町村議会議員選挙 | 15万円 | 有効投票総数 ÷ 議員定数 × 1/10 |
| 都道府県議会議員選挙 | 60万円 | 有効投票総数 ÷ 議員定数 × 1/10 |
| 市長選挙(指定都市以外) | 100万円 | 有効投票総数 × 1/10 |
没収点の計算式は少し取っつきにくいので、具体的な数字を入れてみます。有権者12万人・議員定数30人・投票率50%の市を想定します。有効投票総数はおよそ6万票です。
6万票 ÷ 30人 = 2,000票。この10分の1が200票。つまり200票に達すれば供託金30万円は戻ってきます。市議選で200票というのは、決して手の届かない数字ではありません。供託の手続きや返還の時期は選挙の供託金はいくら?返還条件・没収ラインを選挙別に一覧化で詳しく解説しています。
供託金が戻ってくるラインの計算(有権者12万人・議員定数30人・投票率50%の市の例)
200票に達すれば、当選・落選にかかわらず供託金30万円は全額返還されます。そして選挙カー・ポスター・ビラの公費負担を受けられる条件も、まったく同じこのラインです。
※実際の有効投票総数は選挙が終わるまで確定しません。上の数字はあくまで試算の例です。選挙区が分かれている市では、選挙区ごとの定数と有効投票総数で計算します。
選挙運動用自動車:公費負担の対象
いわゆる選挙カーです。車両の借り上げ、燃料、運転手の3つがそれぞれ公費負担の対象になります。ハイヤーやタクシーを燃料・運転手込みで借りる方式を選ぶこともできます。指定都市以外の市議会議員選挙の選挙運動期間は7日間なので、日額の上限に7を掛けたものが総額の上限になります。政令指定都市の市議選は告示が投票日の9日前(公職選挙法第33条5項)なので、日数も9日で計算します。
使える車の大きさは、2026年1月の法改正で乗車定員10人以下・車両総重量3.5トン未満に統一されました。詳しくは次の章で説明します。
ポスター作成:公費負担の対象
選挙管理委員会が設置するポスター掲示場に貼る、あの候補者ポスターです。公費負担の上限は掲示場の数によって変わる算式で決まります。掲示場が少ない自治体ほど、1枚あたりの単価上限は高くなります。デザイン費や版下代を含めた考え方になっているためです。
サイズは長さ42cm・幅40cm以内です(公職選挙法第143条13項)。以前の市議選は幅30cmまででしたが、2026年1月以降に告示される選挙から幅が広がりました。
ビラ作成:公費負担の対象(枚数に上限あり)
指定都市以外の市議会議員選挙で配れる選挙運動用ビラは4,000枚までです(指定都市は8,000枚。公職選挙法第142条1項)。種類は選挙管理委員会に届け出た2種類以内に限られ、選挙管理委員会が交付する証紙を1枚ずつ貼らなければ配れません。この枚数を超えて作った分は、すべて自己負担になります。
ビラは配布方法も限られていて、新聞折込み、選挙事務所内、個人演説会の会場内、街頭演説の場所の4つ以外では配れません。各戸へのポスティングや郵送はできません。
通常葉書:2,000枚まで無料で出せる
市議選では、選挙運動用の通常葉書を候補者1人あたり2,000枚まで使えます(指定都市は4,000枚)。浦安市の選挙管理委員会は、郵便局で「選挙用」の表示を受けた葉書は無料で差し出せると案内しています。印刷代や宛名書きの手間は別にかかるので、誰に送るかの名簿づくりが先に必要です。
選挙事務所・人件費:全額自己負担
事務所の賃料、電話やネット回線、事務用品、そしてスタッフへの報酬。これらに公費負担はありません。ここが総額を大きく左右する部分です。自宅や後援会関係者の事務所の一角を使う、期間を絞って借りるといった工夫で、この部分は相当に圧縮できます。事務所の費用相場と節約の工夫は選挙事務所の費用相場と、費用を抑える5つの工夫にまとめました。報酬を払える人と上限額は、後の章で整理します。
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2026年1月から、選挙カーとポスターの規格が変わりました
2025年4月に公布された改正公職選挙法(令和7年法律第20号)が、2026年1月1日に施行されました。選挙カーとポスターの規格が、選挙の種類にかかわらず統一されています。費用に直結する変更なので、見積もりを取る前に押さえておいてください。
| 項目 | 2026年1月以降 | 市議選への影響 |
|---|---|---|
| 選挙カーの規格 | 乗車定員10人以下・車両総重量3.5トン未満(法141条6項) | 選べる車が広がった |
| ポスターの寸法 | 長さ42cm・幅40cm以内(法143条13項) | 幅30cm→40cm |
| ポスターの記載 | 氏名の記載義務・品位保持義務(法144条の4の2) | 営業宣伝などは不可 |
| 公費の単価・限度額 | 令和7年6月改定の額のまま | 変更なし |
選挙カー:借りられる車の幅が広がった
改正前は、選挙カーに使える車の種類が政令で細かく限定されていました。改正後は「乗車定員10人以下」「車両総重量3.5トン未満」という2つの条件だけになり、すべての選挙で共通です。レンタカー会社や地元の車両業者から借りられる車の選択肢が広がったため、公費の上限(1日16,100円など)の範囲に収まる車を探しやすくなりました。
ただし、公費で払われる日額の上限は変わっていません。大きめの車を借りて上限を超えれば、差額は自己負担です。
ポスター:幅40cmまで使える
市議選のポスターは、これまで長さ42cm・幅30cm以内でした。改正後は長さ42cm・幅40cm以内です。掲示場の1区画は縦・横それぞれ42cm以上と定められているため、幅40cmのポスターも区画に収まります。
ポスターの面積はどれだけ広がったか
紙面が広がっても、公費で払われる1枚あたりの単価上限は変わりません。大判の用紙や特殊な加工で単価が上がると、上限を超えた分は自己負担になります。
ポスターの中身にもルールが加わっています。掲示場に貼るポスターには候補者の氏名を見やすく書く必要があり、他人の名誉を傷つける内容や、商品の広告などの営業宣伝を載せることは禁じられています(公職選挙法第144条の4の2)。営業宣伝をした場合は罰則の対象です。
新しい規格が適用されるのは、2026年1月1日以後に告示される選挙です。以前の選挙で使ったデータや、業者の旧テンプレート(幅30cm)をそのまま使っても違反にはなりませんが、使える紙面の3分の1を捨てることになります。発注の際は「42×40cmで作れるか」を確認してください。
改正の全体像と、ほかの選挙への影響は選挙公営制度とは?公費負担の対象・上限額を選挙別に完全解説で詳しく扱っています。
公費負担(選挙公営)で賄えるのはどこまでか
公費負担は、正式には選挙公営という制度です。お金のかからない選挙を実現し、資力のあるなしで立候補の機会に差がつかないようにするために設けられています。
地方選挙では、公費負担の内容は各自治体が条例で定めます(公職選挙法第141条8項・142条11項・143条15項)。だから金額は自治体ごとに違います。ここが最も誤解されやすい点なので、実際の自治体の条例で数字を見てみます。
千葉県浦安市の例
浦安市が公表している公費負担の限度額(いずれも消費税込み)は次のとおりです。国が定める基準額(公職選挙法施行令)と同じ額になっています。
| 項目 | 限度額 | 7日間の上限 |
|---|---|---|
| 選挙運動用自動車(ハイヤー契約) | 1日 64,500円 | 451,500円 |
| 自動車の借り上げ(個別契約) | 1日 16,100円 | 112,700円 |
| 燃料代(個別契約) | 1日 7,700円 | 53,900円 |
| 運転手の報酬(個別契約) | 1日 12,500円 | 87,500円 |
| ビラ作成 | 1枚 8円38銭 | 33,520円(4,000枚) |
| ポスター作成(掲示場227か所) | 1枚 1,981円 | 449,687円(227枚) |
ポスターの単価上限は算式で決まります。浦安市の場合、ポスター掲示場が227か所あるため、次のように計算されています。
(316,250円 + 586円88銭 × 227か所)÷ 227か所 = 1,980円05銭 → 1円未満を切り上げて1枚あたり1,981円
1枚1,981円までなら公費で賄えます。227か所ぶんで449,687円、およそ45万円です。ポスター制作にこれだけの枠があることは、あまり知られていません。なお1円未満の端数を1円とする扱いは、公職選挙法施行令第110条の4に定められています。
兵庫県芦屋市の例(2019年時点)
比較のために、芦屋市が2019年(平成31年)の市議会議員選挙で示していた限度額も見てみます。
| 項目 | 芦屋市(2019年) | 浦安市(現行) |
|---|---|---|
| 自動車の借り上げ | 1日 15,800円 | 1日 16,100円 |
| 燃料代 | 1日 7,560円 | 1日 7,700円 |
| ビラ単価 | 1枚 7円51銭 | 1枚 8円38銭 |
| ポスター掲示場数 | 152か所 | 227か所 |
同じ制度でも、自治体が違えば額が違い、時期が違えばまた額が違います。物価の変動に応じて国が基準額を改正し、それを受けて各自治体が条例を改正するためです。ネットの記事に載っている金額をそのまま自分の自治体に当てはめないでください。地元の選挙管理委員会で最新の数字を確認する必要があります。
公費負担を受けられるのは、供託物没収点以上の票を得た候補者に限られます。届かなかった場合、選挙カーもポスターもビラも、かかった費用は全額自己負担です。「公費だから大丈夫」と考えて契約を膨らませるのは危険です。
ポスター掲示場が少ない自治体ほど単価は高くなる
ポスターの算式をもう一度見てください。固定額の316,250円を掲示場の数で割る構造になっています。つまり掲示場が100か所の自治体なら、1枚あたりの上限は約3,750円。500か所の自治体なら約1,220円です。小規模な自治体ほど、1枚にかけられる金額は大きくなります。デザインにこだわりたい方には知っておく価値のある仕組みです。なお掲示場が500か所を超える自治体では、超えた部分の単価が1か所30円73銭に下がる別の算式になります。
市議選以外の選挙で、公費の枠と総額がどう変わるかは選挙の費用相場を選挙種別に完全比較で並べて比べられます。町や村の議会選挙を考えている方は町議会議員選挙の費用もあわせてご覧ください。
公費の外にかかるお金:人件費と法定制限額
選挙カー・ポスター・ビラが公費で賄えても、陣営を動かすには人が必要です。そして人を雇えば、その費用は全額自己負担になります。ここでは、報酬を払える相手とその上限、そして選挙運動全体で使えるお金の上限(法定制限額)を整理します。
報酬を払えるのは3種類の人だけ
選挙運動を手伝ってくれる人の多くは、ボランティアです。公職選挙法では、選挙運動をする人に報酬を払うことは原則として買収にあたります。例外として報酬を払えるのは、次の人に限られます。
| 報酬を払える人 | 1人1日の上限(国の基準) | 市議選の人数枠 |
|---|---|---|
| 選挙運動のための事務員 | 15,000円以内 | 1日9人まで。期間を通じて届け出られるのは45人まで(使う前の届出が必要) |
| 車上運動員(いわゆるウグイス)・手話通訳者・要約筆記者 | 20,000円以内 | |
| 労務者(ポスター貼り・運転などの機械的な作業) | 10,000円以内 | 届出は不要 |
| 上記以外の選挙運動員 | 支払不可 | 買収にあたる |
※金額は公職選挙法施行令第129条の基準額です。実際の上限は各選挙管理委員会がこの基準の範囲内で定めるため、自治体によって異なります。人数枠は指定都市以外の市議選の場合(同条3項・8項)。
仮に事務員と車上運動員を上限額・上限人数いっぱいで雇うと、7日間で数十万円から100万円を超える規模になります。選挙費用の総額を押し上げているのは、多くの場合この人件費です。家族や支援者のボランティアで回せる部分はそうし、報酬を払う相手は車上運動員など本当に必要な役割に絞る。この判断だけで総額は大きく変わります。
選挙運動で使えるお金には上限がある(法定制限額)
選挙運動のために支出できるお金には、法律で上限が決まっています。これを法定制限額といいます。指定都市以外の市議選では、次の式で計算します。
市議選の法定制限額(指定都市以外)
人数割の部分が固定額の2倍(440万円)を超える場合は440万円で頭打ちになるため、合計は最大660万円です(公職選挙法施行令第127条)。実際の額は選挙ごとに選挙管理委員会が告示します。
たとえば登録者数12万人・定数30人の市なら、12万 ÷ 30 × 501円 = 2,004,000円。これに固定額220万円を足して、法定制限額はおよそ420万円です。
事務所費や人件費は、この制限額の計算に含まれます。一方で、選挙カー(選挙運動用自動車)の使用に要した支出は、選挙運動に関する支出とはみなされません(公職選挙法第197条2項)。何が算入され何が算入されないかは細かいので、迷ったら選挙管理委員会の説明会資料で確認してください。選挙が終わったら、何にいくら使ったかを選挙運動費用収支報告書にまとめて提出します。領収書の保管も必要です。資金の集め方や寄附のルールは選挙資金がない人でも立候補できる?で解説しています。
シミュレーション:手元からいくら出ていくのか
ここまでの数字を使って、浦安市と同じ条件の市で市議選に挑む場合を試算してみます。公費負担を使わなかった場合と、使い切った場合の比較です。
公費負担を使わない場合
約74万円 選挙カー・ポスター・ビラの費用を、すべて自分の財布から払います。制度を知らなかった、あるいは手続きが間に合わなかった場合がこれにあたります。自己負担 約74万円
公費負担を使い切った場合
約74万円 同じ金額を、自治体が業者へ直接支払います。あなたの口座からは出ていきません。上限額の範囲内で契約することが条件です。自己負担 0円に近づく
| 項目 | 7日間の上限額 | 公費負担 |
|---|---|---|
| 選挙運動用自動車の借り上げ | 112,700円 | 対象 |
| 燃料代 | 53,900円 | 対象 |
| 運転手の報酬 | 87,500円 | 対象 |
| ポスター作成(227か所ぶん) | 449,687円 | 対象 |
| ビラ作成(4,000枚) | 33,520円 | 対象 |
| 合計 | 737,307円 | 約74万円 |
| 選挙事務所・人件費・後援会活動費 | 陣営による | 自己負担 |
| 供託金 | 300,000円 | 得票次第で返還 |
※浦安市の限度額(選挙カーは個別契約方式)で試算した概算です。公費負担には供託物没収点以上の得票が必要です。
選挙カー・ポスター・ビラの3項目だけで、約74万円ぶんの枠があります。選挙カーを個別契約ではなくハイヤー・タクシーの借上げにした場合は、上限が1日64,500円になるため枠はさらに広がり、合計で約93万円(934,707円)になります。この枠を知らずに自費で払えば、そのまま同額の持ち出しです。制度を使えば、この部分は自治体が業者へ直接支払います。あなたの口座からは出ていきません。
残るのは供託金30万円(得票が届けば返還)と、事務所費・人件費などの自己負担分です。事務所を借りずに活動する、スタッフを最小限にするといった判断をすれば、実質的な持ち出しは大きく変わってきます。
事務所を借り、有償スタッフを雇う陣営
公費の外が膨らむ 賃料・光熱費・回線に加え、事務員(1日15,000円以内)や車上運動員(1日20,000円以内)の報酬が7日分かかります。公費の枠を使い切っても、手元からの支出は大きくなります。持ち出しは陣営の規模しだい
自宅を事務所にし、ボランティア中心で回す陣営
公費の外を最小化 報酬を払うのは車上運動員など必要な役割だけに絞ります。公費の枠を使い切れば、主な支出は供託金と日常の活動費になります。持ち出しを0円に近づけやすい
いつから何を準備すれば間に合うのかは、選挙準備はいつから?逆算スケジュールを12ヶ月前から完全解説で投票日から逆算できます。
ポスターとビラは、公費負担の範囲内で制作します。候補者の持ち出しは0円です。あなたの自治体の条例で上限額を確認したうえで、その枠に収まるように見積もりを組むためです。上限を超えて請求が来るということはありません。
街宣車(選挙カー)の手配も私たちが行います。車両の借り上げ、燃料、運転手。この3つはそれぞれ別の契約が必要で、選挙管理委員会への届出も契約ごとに出さなければなりません。この一式をまとめてお引き受けします。
そのうえで一点だけ。公費負担を受けられるのは供託物没収点以上の票を得た候補者に限られます。ここは制度上の条件なので、私たちも含めて誰にも動かせません。だからこそ、票をどう積み上げるかという設計まで含めてご相談ください。詳しくは0円選挙.COMのサービス案内をご覧ください。
同じ3点セットでも、発注先によって持ち出しは変わります
ここまでは制度の話でした。ここからは発注先の話です。
ポスターとビラの印刷代は、上限単価の範囲内であれば自治体が業者へ支払います。ここはどの業者に頼んでも、あなたの自己負担は発生しません。差がつくのは公費の枠の外側です。具体的にはデザイン制作費と街宣車の2つで、ここだけで数十万円の開きが出ます。
下のシミュレーターで確かめてください。ポスター・ビラ・街宣車の3つは必須です。そのほかの品目は、入れるかどうかをチェックで選べます。
選挙用品の費用比較シミュレーター
ポスター・ビラ・街宣車は必須。そのほかは入れるかどうかを選んで、金額の差を確かめられます
必ずかかる3品目 チェックは外せません。ポスターとビラの印刷代は公費負担の対象です
私たちがお届けするのは街宣車キット(看板・装飾一式)です。お手持ちの自家用車、またはご自身で借りたレンタカーに取り付けていただく形で納品します。かかるのはキットの印刷代だけです。
そのうえで、レンタカーの借上げ料・燃料代・運転手の報酬は、いずれも公費負担の対象です(公職選挙法施行令第109条の4)。車両代がそのまま持ち出しになるわけではありません。千葉県浦安市の例では、個別契約方式の7日間で254,100円までが公費の枠です。
入れるかどうかを選べる品目 チェックを入れると合計に加わります
一般的な他社に発注した場合
- 公開価格を掲載している複数の事業者の価格を、品目ごとに積み上げた参考値です。-
MOPPsにご依頼いただいた場合
- 印刷代・資材費のみの原価です。デザイン制作は自社で行うため、ここには乗りません。-
品目ごとの内訳
開きが出るのはデザイン費と街宣車です
まずデザイン制作費です。選挙の印刷物を扱う事業者の多くは、ポスター・ビラ・はがき・選挙公報の原稿を1点ずつ課金します。選挙広告制作所の公表価格では、この4点のセットが170,000円(税別)、税込で187,000円です。単品ならポスター50,000円から、ハガキ35,000円から、リーフレット65,000円から、公報30,000円から。単品を積み上げると税込198,000円になり、さらに企画費・進行管理費が制作費の30%加算されると明記されています。
私たちはデザインを自社で制作します。だからこの項目が請求に乗りません。
次に街宣車です。ここは仕組みそのものが違います。私たちは車両をお貸ししません。お手持ちの自家用車か、ご自身で借りたレンタカーに取り付けられる街宣車キット(看板・装飾の一式)をお届けします。かかるのはキットの印刷代だけです。
では車はどうするのか。レンタカーで構いません。レンタカーの借上げ料も、燃料代も、運転手の報酬も、いずれも公費負担の対象です(公職選挙法施行令第109条の4)。この記事で見てきた浦安市の例なら、個別契約方式の7日間で254,100円までが公費の枠でした。車両代がそのまま持ち出しになるわけではありません。
一方、車両のリースと装飾をセットで請け負う事業者に頼むと、20万円から50万円程度の自己負担が通例です。シミュレーターの初期値は、このうち下限の20万円にしています。
私たちのほうが高い品目もあります
隠さずに書きます。のぼり旗・スタッフジャンパー・事務所看板の3品目は、汎用のネット通販業者のほうが安く出ます。シミュレーターでも、そのまま差額をマイナスで表示します。
ただし3品目を合わせた差は1.4万円ほどです。デザイン費と街宣車の開きに比べれば小さい水準にとどまります。品目ごとに安いところで買う、という選び方もあります。そのうえで、公費負担の手続きまで含めて一本化したいかどうかでご判断ください。
シミュレーターの当社欄は印刷代・資材費のみの原価です。デザイン制作は自社で行うため、原価に計上していません。他社欄は特定の1社の見積ではなく、公開価格を掲載している複数の事業者の価格を品目ごとに拾った参考値(2026年10月時点)です。街宣車の他社金額だけは公開価格ではなく、車両リース込みの実勢価格です。実際の見積は、仕様・部数・納期・地域によって上下します。
見落としやすい落とし穴
票が届かなければ公費は1円も出ない
繰り返しになりますが、これが最大のリスクです。供託物没収点に届かなければ、供託金30万円が没収されるうえに、選挙カーもポスターもビラも全額自己負担になります。二重の打撃です。公費負担を前提に契約を組むなら、没収点をどう超えるかという戦略とセットで考える必要があります。
契約書の届出を忘れると公費が受けられない
公費負担を受けるには、業者と有償契約を結んだうえで、その契約書の写しを選挙管理委員会へ届け出る必要があります。この届出を出し忘れると、上限内の契約であっても公費は支払われません。流れは次のとおりです。
- 業者と有償契約を結ぶ選挙カーを個別契約にする場合、車両の借り上げ・燃料・運転手はそれぞれ別の契約になります。契約書も3通必要です。
- 契約書の写しを選挙管理委員会へ届け出る立候補届出より前に契約したなら立候補届出のときに、後に契約したなら契約締結後ただちに提出します。
- 確認申請を出す(項目による)ポスターの作成枚数や燃料代については、上限の範囲内であることの確認申請を別途求める自治体があります。
- 選挙後、業者が自治体へ請求するお金を受け取るのは候補者ではなく業者です。あなたの口座を経由しません。
手続きの詳細は立候補の手続き・必要書類のページと、選挙に立候補するには|手続き・必要書類・期限の完全ガイドにまとめています。この一連の書類仕事は、私たちが代行することもできます。
上限を超えた分は静かに自己負担になる
たとえば浦安市と同じ条件(掲示場227か所、単価上限1,981円)の市で、ポスター227枚を60万円で契約したとします。1枚あたり約2,643円です。公費で支払われるのは1,981円 × 227枚 = 449,687円まで。残りの150,313円は候補者の負担です。「公費で作れます」と言われて契約したのに、後から請求が来るという事態はここで起きます。
上限を超えた契約の自己負担(掲示場227か所・単価上限1,981円の例)
※概算です。単価上限と掲示場の数は自治体によって異なります。
デザイン費や企画費の扱いを確認する
デザイン費の相場と、発注先による開きは同じ3点セットでも、発注先によって持ち出しは変わりますのシミュレーターで確かめられます。ポスターの単価上限には固定額が含まれており、デザイン費もこの枠のなかで考えるのが一般的です。ただし業者によっては、印刷費と別立てでデザイン費を請求する場合があります。見積もりを取るときは「公費負担の対象になる金額はいくらか」を明示してもらうようにしてください。
よくある質問
供託金の30万円は、いつ・どこに払うのですか?
立候補届出の前に、法務局(供託所)へ預けます。現金または国債などで供託し、交付された供託書正本を立候補届出のときに提出します。届出当日に慌てないよう、告示日より前に済ませておくのが一般的です。
落選しても供託金は返ってきますか?
返ってきます。当選・落選は関係ありません。判断基準は得票数だけです。有効投票総数を議員定数で割り、その10分の1に達していれば全額返還されます。逆に、この線に届かなければ当落にかかわらず没収されます(公職選挙法第93条)。
公費負担は自分で申請するのですか?
お金を受け取るのは候補者ではなく業者です。候補者は業者と契約を結び、契約書の写しを選挙管理委員会へ届け出ます。ポスターの作成枚数や燃料代については、別途「確認申請」が必要になる自治体もあります。選挙が終わったあと、業者が自治体へ費用を請求する流れです。
町村議会議員選挙でも公費負担は使えますか?
使えます。2020年(令和2年)6月の公職選挙法改正で、町村の選挙にも市と同じ範囲の選挙公営が広がりました。ただし実際に導入するかどうかは各町村が条例で決めるため、まだ制度を設けていない自治体もあります。地元の選挙管理委員会にご確認ください。なお町村議会議員選挙の供託金は15万円です。町村ならではの注意点は町議会議員選挙の費用は?で解説しています。
ポスターは幅40cmで作ってよいのですか?
2026年1月1日以後に告示される市議選なら、長さ42cm・幅40cm以内で作れます(公職選挙法第143条13項)。以前は幅30cmまででした。ただし公費で払われる1枚あたりの単価上限は変わっていないため、紙面を広げたことで単価が上がれば、上限を超えた分は自己負担になります。
軽自動車やワンボックスを選挙カーにできますか?
乗車定員10人以下で、車両総重量3.5トン未満であれば、選挙運動用自動車として使えます(公職選挙法第141条6項)。2026年1月の改正で、車種ごとの細かい制限はなくなりました。公費負担を受けるには、借り上げ・燃料・運転手の契約を結び、契約書の写しを選挙管理委員会へ届け出る必要があります。
スタッフに日当を払ってもよいのですか?
払えるのは、選挙運動のための事務員、車上運動員、手話通訳者・要約筆記者、労務者に限られます。国の基準では事務員が1日15,000円以内、車上運動員が1日20,000円以内、労務者が1日10,000円以内です。事務員と車上運動員は、使う前に選挙管理委員会への届出が必要です。それ以外の選挙運動員に報酬を払うと買収にあたります。上限額は自治体によって異なるため、選挙管理委員会の告示で確認してください。
結局、最低いくら用意すれば立候補できますか?
公費負担の枠を使い切り、事務所を借りず、スタッフを雇わない前提であれば、法律上どうしても必要なのは供託金の30万円です。ただし後援会活動や名刺、交通費などの日常的な支出は別にかかります。実際にどこまで抑えられるかは、自治体の条例の内容と、あなたの選挙の組み立て方によって変わります。立候補の資格や準備の全体像は市議会議員になるには?、地盤や組織がない場合の戦い方は無所属・新人が選挙で勝つには?をご覧ください。個別の条件でお調べしますので、無料相談もご利用ください。
まとめ
市議会議員選挙で法律上どうしても必要なお金は、供託金の30万円です。選挙カー・ポスター・ビラは公費負担の対象で、この記事で見た浦安市の例では70万〜90万円台の枠がありました。この枠を正しく使えるかどうかで、手元から出ていく金額はまったく違ってきます。
鍵になるのは次の5つです。「お金がないから無理だ」と諦める前に、あなたの自治体の条例がいくらと定めているかを確認してみてください。
- 供託物没収点を超える——公費負担も供託金の返還も、すべてここが起点になります
- 自治体の条例で上限額を正確に把握する——超えた分は静かに自己負担へ回ります
- 契約書の届出を期限内に出す——出し忘れると、上限内の契約でも公費は出ません
- 新しい規格で発注する——ポスターは42×40cm、選挙カーは10人以下・3.5トン未満が基準です
- 報酬を払う相手を絞る——公費の外で総額を押し上げるのは人件費です
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0円選挙.COMは、ポスターとビラを公費負担の範囲内で制作します。候補者の持ち出しは0円です。街宣車(選挙カー)の手配も、車両・燃料・運転手の契約から選挙管理委員会への届出まで一括で行います。政治現場10年以上の実務者と、京都大学大学院で研究を続けるメンバーが、あなたの選挙区の条例を調べたうえでご提案します。相談は無料です。
出典
- 総務省「立候補を目指す方へ(なるほど!選挙)」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo18.html
- 浦安市「選挙運動費用の公費負担」 https://www.city.urayasu.lg.jp/shisei/senkyo/senkyo/1003176.html
- 芦屋市選挙管理委員会「平成31年4月21日執行 芦屋市議会議員選挙 選挙公営(公費負担)の手引き」 https://www.city.ashiya.lg.jp/senkyo/documents/31shigi_kouhifutan_tebiki.pdf
- かすみがうら市「選挙運動費用の公費負担」 https://www.city.kasumigaura.lg.jp/page/page000678.html
- 神戸市「選挙の種類別の供託金の額はいくらですか?」 https://faq.city.kobe.lg.jp/faq/show/4026
- 高知市「市議会議員選挙における選挙運動用ビラの頒布解禁について」 https://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/99/sigisen-bira.html
- e-Gov法令検索「公職選挙法」(第33条・第92条・第93条・第141条・第142条・第143条・第144条の4の2・第197条) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100
- e-Gov法令検索「公職選挙法施行令」(第109条の4・第109条の8・第110条の4・第127条・第129条) https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000089
- 総務省「公職選挙法の一部を改正する法律要綱(選挙運動に関する規格の簡素化)」 https://www.soumu.go.jp/main_content/001002901.pdf
- 総務省「公職選挙法の一部改正について(令和7年)」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/touhyou/shikkokeihi/index_2025.html
- 選挙広告制作所「制作料金」 https://senkyo-koukoku.com/price/
- 販促クリエイト.jp(小川印刷)「選挙運動用 公選推薦はがき」 https://www.hansoku-create.jp/shop/g/g200202/
- 販促クリエイト.jp(小川印刷)「選挙運動用たすき」 https://www.hansoku-create.jp/shop/g/g360040/
- のぼり屋さんドットコム「600×1800mm 価格表」 https://nobori-print.just-shop.jp/original/600_1800.php
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