市議会議員になるには?資格・準備・費用を現役京大院生が解説

地元の課題を見ていて、誰かが議会で言うべきだと感じることがある。でも「議員になる」なんて、自分とは縁のない世界の話だと思っていた。政治家の家に生まれたわけでも、政党に所属しているわけでもない。
実際のところ、市議会議員になるための法律上の条件は、たった2つしかありません。満25歳以上であることと、その市に3か月以上住んでいること。それだけです。この記事では、資格の確認から立候補までの準備、必要なお金、議員報酬の実額、そして当選後の実際までを、条文と公表データにもとづいて整理します。
この記事でわかること
結論:法律上の条件は2つだけ
市議会議員に立候補する資格を被選挙権といいます。公職選挙法10条1項5号が定める要件は、次の2つです。
学歴も、職歴も、資産も、政党の推薦も、法律上は一切問われません。「地盤・看板・カバン」は当選するための条件であって、立候補するための条件ではありません。ここを混同していると、入口の前で止まったままになってしまいます。三バンがない状態からどう組み立てるかは、無所属・新人の戦い方の記事で詳しく扱っています。
よく誤解されていること
- 政党に入る必要はありません。無所属で立候補できます
- 推薦人や署名は不要です。市議会議員選挙に推薦人制度はありません
- 仕事を辞めずに準備できます。ただし公務員は立候補の届出で辞職したものとみなされます
- 供託金は「払う」のではなく「預ける」お金。一定の得票に達すれば全額返ってきます
- 25歳の誕生日は投票日までに来れば足ります。年齢は選挙の期日で数えます(法10条2項)
資格要件をひとつずつ確認する
年齢:満25歳以上。数えるのは投票日
市議会議員・市長ともに満25歳以上です。見落とされやすいのは年齢をいつの時点で数えるかです。公職選挙法10条2項は「前項各号の年齢は、選挙の期日により算定する」と定めています。選挙の期日とは投票日のことです。
つまり、告示日に24歳でも、投票日までに25歳の誕生日が来るなら立候補できます。24歳で立候補の届出をして、投票日に25歳になっている、という形が法律上は成り立ちます。該当しそうな方は、必ず選挙管理委員会に日付を伝えて確認してください。
参考までに、他の選挙と比べると次のようになります。
| 選挙の種類 | 年齢 | 住所の要件 |
|---|---|---|
| 市区町村議会議員 | 25歳以上 | 引き続き3か月以上、その市区町村に住所 |
| 市区町村長 | 25歳以上 | 要件なし |
| 都道府県議会議員 | 25歳以上 | 引き続き3か月以上、その都道府県内の同一市区町村に住所 |
| 都道府県知事 | 30歳以上 | 要件なし |
| 衆議院議員 | 25歳以上 | 要件なし |
| 参議院議員 | 30歳以上 | 要件なし |
気づいていただきたいのは、議員の選挙には住所の要件があるのに、首長の選挙にはないという点です。市長選には他の地域から出馬できますが、市議選はその市に住んでいなければ立候補できません。議会が住民の代表機関だという考え方が、ここに表れています。
住所:引き続き3か月以上
ここが実務上いちばん注意が必要な要件です。ポイントは「引き続き」という言葉にあります。
市町村議会議員の被選挙権は、法10条1項5号が「その選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの」と定めています。その選挙権の中身を定めているのが法9条2項です。引き続き3か月以上その市町村の区域内に住所を有することが要件になっています。
つまり、選挙の3か月前を過ぎてから引っ越しても、その選挙には出られません。また、途中で他の市区町村へ転出して戻ってきた場合、期間はリセットされます。
住所要件で問われるのは、住民票の記載だけではなく生活の実態です。実際に住んでいない場所に住民票だけを移しても、要件を満たしたことにはなりません。過去には居住実態が争われ、当選が無効になった例もあります。単身赴任や二拠点生活をしている方は、立候補を検討する段階で選挙管理委員会に相談しておくことを強くおすすめします。
被選挙権を失う場合
年齢と住所の要件を満たしていても、次のいずれかに当たると被選挙権がありません。公職選挙法11条と11条の2、そして252条が定めています。
| 根拠 | どんな場合か | いつまで |
|---|---|---|
| 法11条1項2号 | 拘禁刑以上の刑に処せられた | 刑の執行を終わるまで |
| 法11条1項3号 | 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を受けることがなくなっていない(執行猶予中の人は除く) | 執行を受けることがなくなるまで |
| 法11条1項4号 +11条の2 | 公職にある間に犯した収賄などの罪(刑法197条〜197条の4ほか)で刑に処せられた | 執行終了または免除から5年、さらにその日から5年(合計10年) |
| 法11条1項5号 | 選挙・投票・国民審査に関する犯罪で拘禁刑に処せられ、執行猶予中 | 執行猶予中の期間 |
| 法252条1項 | 公職選挙法の選挙犯罪で罰金の刑に処せられた | 裁判確定日から5年 |
| 法252条2項 | 選挙犯罪で拘禁刑に処せられた | 刑の執行終了まで+その後5年 |
| 法252条3項 | 買収などの罪(法221条〜223条の2)を重ねた | 上記の5年が10年になります |
2025年6月1日から、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。公職選挙法11条の条文も「拘禁刑以上の刑」に改められています。古い解説記事では「禁錮以上の刑」と書かれていることがありますが、現行の条文の文言は拘禁刑です。なお、法252条4項により、裁判所が情状によってこの停止期間を短縮したり適用しない旨を宣告することもあります。
該当するかどうか判断がつかない場合は、必ず選挙管理委員会に確認してください。罰金前科があっても、選挙犯罪以外の罰金であれば被選挙権には影響しません。
会社員・公務員が立候補する場合
会社員は、辞めずに準備できます
民間企業に勤めながら立候補の準備を進めることに、法律上の制限はありません。ただし選挙運動期間中は平日の日中も動くことになるため、実務としては休職や有給休暇の取得を検討する方が多いです。就業規則で兼業や政治活動をどう扱っているかは、事前に確認しておいてください。
指定都市以外の市議会議員選挙の選挙運動期間は7日間です。法33条5項4号が「少なくとも七日前に」告示すると定めているためです。町村議選なら5日間、都道府県議選と指定都市の市議選なら9日間になります。町議会議員選挙の記事でも日数の違いを扱っています。
公務員は、届出の日に辞職したものとみなされます
ここは会社員と決定的に違う点です。条文は2段階になっています。
- 法89条1項:在職中は候補者になれません国または地方公共団体の公務員、行政執行法人・特定地方独立行政法人の役員・職員は、在職中、公職の候補者となることができません。
- 法90条:届出の日に辞したものとみなされますその公務員が立候補の届出をしたときは、退職に関する法令の規定にかかわらず、届出の日に公務員たることを辞したものとみなされます。
つまり「当選したら辞める」ではなく「届け出た時点で辞めたことになる」という仕組みです。届出をすれば法律上は自動的に退職扱いになりますが、それを当てにして人事の手続きを後回しにしないでください。退職金や共済、残務の引き継ぎはいずれも手続きに時間がかかります。告示日から逆算して、少なくとも数か月前から人事課と話を始めてください。
在職中でも立候補できる人がいます
法89条1項のただし書に例外があります。地方での立候補に関係するのは次の2つです。
| 根拠 | 対象 | 在職中の立候補 |
|---|---|---|
| 法89条1項4号 | 消防団長その他の消防団員、水防団長その他の水防団員(いずれも常勤の者を除く) | できます |
| 法89条2項 | 現職の地方議員・首長が、任期満了による選挙に出る場合 | できます |
| 法89条1項3号 | 臨時または非常勤の委員・顧問・参与・嘱託員などで政令が指定するもの | 政令の指定を確認 |
| 法89条1項本文 | 上記以外の公務員(常勤職員など) | できません |
非常勤の消防団員を務めながら市議会議員選挙に立候補することは、条文上できます。地域活動の延長で立候補を考える方には関係の深い規定です。ただし当選後は地方自治法92条の兼職禁止を別途確認する必要があります。
当選後の兼職禁止と、請負の制限
当選したあとにも制限があります。地方自治法が2つの条文で定めています。
| 根拠 | 内容 |
|---|---|
| 地方自治法92条1項 | 衆議院議員・参議院議員と兼ねることはできません |
| 地方自治法92条2項 | 他の地方公共団体の議会の議員、常勤の職員、短時間勤務職員と兼ねることはできません |
| 地方自治法92条の2 | その自治体に対して請負をする者、およびその法人の取締役・監査役などになることはできません。ただし各会計年度に支払を受ける請負の対価の総額が300万円を超えない者は除かれます |
この300万円は、地方自治法施行令121条の2が定める額です。自治体から仕事を受けている会社を経営している方、役員をされている方は、年間の受注額がこのラインに収まるかを事前に確認しておく必要があります。議会ごとに請負状況の公表規程を設けている例もあるため、議会事務局にも確認してください。
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立候補までにやること
資格の確認ができたら、実際の準備に入ります。大まかな流れは次のとおりです。
- 選挙管理委員会に相談するまずここから始めてください。次の選挙の日程、議員定数、ポスター掲示場の数、公費負担の条例の内容。すべて無料で教えてもらえます。立候補予定者向けの説明会の案内も受け取れます。
- 後援会を立ち上げ、政治活動を始める選挙運動ができるのは立候補届出の後だけです。法129条が「候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まで」と期間を限っているためです。一方で、政治活動としての後援会活動はそれ以前から可能です。ここで名前と考えを知ってもらいます。「私に投票してください」と呼びかけるのは事前運動として禁止されているため、線引きには注意が必要です。
- 立候補予定者説明会に出る告示日の1〜2か月前に選挙管理委員会が開催します。必要書類一式が配布され、届出の手順が説明されます。ここに出ないと書類が揃わないため、必ず参加してください。
- 供託金を法務局に預ける指定都市以外の市の市議会議員選挙なら30万円。告示日より前に済ませられます。供託書正本を受け取り、立候補届出のときに提出します。
- ポスター・ビラ・選挙カーの契約を結ぶ公費負担を受けるには、業者と有償契約を結び、契約書の写しを選挙管理委員会へ届け出る必要があります。この届出を忘れると、上限内の契約でも公費は支払われません。
- 告示日に立候補を届け出る受付順で選挙運動用の各種証票が交付されます。ここから選挙運動が解禁されます。
必要書類の詳細は立候補の手続き・必要書類のページと立候補の手続き・期限の記事にまとめています。書類作成は行政書士が代行できます。何か月前に何をするかを月単位で逆算したい方は準備スケジュールの記事を、2027年春の統一地方選を見ている方は2027年統一地方選の準備リストをご覧ください。
お金はいくら必要か
法律が「必ず用意しろ」と定めているのは、供託金だけです。公職選挙法92条1項が選挙の種類ごとに額を定めています。
| 選挙の種類 | 供託金 | 根拠 |
|---|---|---|
| 指定都市以外の市の議会の議員 | 30万円 | 法92条1項7号 |
| 指定都市の議会の議員 | 50万円 | 法92条1項5号 |
| 町村の議会の議員 | 15万円 | 法92条1項9号 |
| 都道府県の議会の議員 | 60万円 | 法92条1項3号 |
| 指定都市以外の市の長 | 100万円 | 法92条1項8号 |
| 町村長 | 50万円 | 法92条1項10号 |
政令指定都市の市議会議員選挙だけは50万円です。「市議選は30万円」と覚えていると、札幌市・横浜市・大阪市などで金額が合わなくなります。選挙別の一覧と没収ラインは供託金の記事にまとめています。
選挙カー・ポスター・ビラは公費負担の対象で、条件を満たせば自治体が業者へ直接支払います。
制度を知らずに自費で払うと
約74万円 選挙カー・ポスター・ビラの費用が、そのまま持ち出しになります。ここに事務所費と人件費が積み上がると、よく言われる「200万〜300万円」に近づきます。供託金+約74万円
公費負担を使い切ると
供託金のみ 選挙カー・ポスター・ビラは自治体が業者へ直接支払います。事務所を借りず、スタッフを最小限にすれば、持ち出しはさらに抑えられます。実質は供託金30万円が中心
※浦安市の公費負担の限度額をもとにした試算です。同市の市議選では、ポスター掲示場227か所・選挙カー7日間・個別契約という前提で合計737,307円ぶんが公費の枠になります。上限額は条例で定められるため、金額は自治体によって異なります。詳しくは市議会議員選挙の費用の記事と選挙種別の費用相場の記事をご覧ください。項目別ではポスターの公費負担、選挙カーの公費負担、制度全体は選挙公営制度の記事で解説しています。
公費負担は、立候補すれば無条件に受けられるものではありません。法141条7項は、国政選挙について供託物が没収とならない場合に限ると定めています。地方選挙の公費負担は、同条8項・142条11項・143条15項により、この規定に「準じて」各自治体が条例で定める仕組みです。得票が没収ラインに届かなかった場合、供託金が没収されるうえに、ポスター・ビラ・選挙カーの費用も自己負担になります。お住まいの自治体の条例でどう定められているかを、事前に選挙管理委員会で確認してください。
ポスターとビラは、公費負担の範囲内で制作します。候補者の持ち出しは0円です。街宣車(選挙カー)の手配も行います。車両・燃料・運転手それぞれの契約と、選挙管理委員会への届出まで一括でお引き受けします。詳しくは0円選挙.COMのサービス案内をご覧ください。
当選ラインは2つの数字で決まります
「何票取れば当選できるのか」という問いには、2つの答えがあります。法律が定める最低ラインと、実際の競争で決まるラインです。混同されやすいので、分けて整理します。
法定得票数:定数で割って4分の1以上
公職選挙法95条1項は、有効投票の最多数を得た者を当選人とすると定めたうえで、ただし書で最低限の得票を要求しています。地方公共団体の議会の議員の選挙では、同項3号により「議員の定数をもって有効投票の総数を除して得た数の4分の1以上」の得票が必要です。これを法定得票数といいます。
法定得票数(市議会議員選挙)
有効投票10,000票・定数20人の市議会議員選挙を仮に置いた計算です。実際の数字はお住まいの自治体の過去の選挙結果で確認してください。
供託物没収点:定数で割って10分の1
一方、供託金が返ってくるかどうかは別のラインで決まります。法93条1項3号は、得票数が「議員の定数をもって有効投票の総数を除して得た数の10分の1」に達しないとき、供託物が当該地方公共団体に帰属すると定めています。
条文は「達しないとき」没収、と書いています。ちょうどこの数に達した場合は没収されません。「超えないと返ってこない」という説明を見かけますが、条文の文言は「達しない」です。
供託物没収点(市議会議員選挙)
この50票に達すれば供託金は全額返還され、公費負担の条件も満たします。達しなければ供託金は没収され、公費負担も受けられません。
実際の当選ラインは、過去の選挙結果で確認する
法定得票数は「最低限これだけは必要」というラインにすぎません。実務で見るべきは、前回の選挙の最下位当選者の得票数です。選挙管理委員会のホームページで過去の選挙結果が公表されているので、定数・候補者数・得票数の並びを確認してください。
目安としては、有効投票総数を定数で割った数(上の例では500票)の前後に最下位当選ラインが来ることが多くなります。定数に対して候補者が多い選挙ほど、このラインは上がります。
議員報酬はいくらか
生活設計に直結する話です。ここを曖昧にしたまま準備を進めると、当選後に困ります。
額は条例で決まりますが、全国の実額が公表されています
地方自治法203条1項は「普通地方公共団体は、その議会の議員に対し、議員報酬を支給しなければならない」と定めています。支給そのものは義務です。そのうえで同条4項が、額と支給方法は条例で定めなければならないとしています。つまり額は自治体ごとに違います。
期末手当については同条3項が「条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる」と定めています。こちらは義務ではなく、条例があれば支給される仕組みです。
では実額はどうなっているか。全国市議会議長会が、全国815市(東京23特別区を含む)を対象に報酬の調査結果を毎年公表しています。令和7年12月31日現在の調査では、対象の815市すべてから回答が得られています。
同じ人口段階でも、2倍以上の差があります
平均だけを見ると判断を誤ります。同じ調査は最高額と最低額も公表しています。人口5万人未満の307市では、議員の報酬月額は最低18.00万円から最高48.00万円まで開いています。
| 人口段階 | 市数 | 平均 | 最低額 | 最高額 |
|---|---|---|---|---|
| 5万人未満 | 307 | 34.2万円 | 18.00万円 | 48.00万円 |
| 5〜10万人未満 | 231 | 40.7万円 | 28.66万円 | 65.00万円 |
| 10〜20万人未満 | 146 | 47.1万円 | 36.00万円 | 62.00万円 |
| 20〜30万人未満 | 49 | 56.1万円 | 43.50万円 | 66.40万円 |
| 30〜40万人未満 | 30 | 60.3万円 | 52.00万円 | 66.90万円 |
| 40〜50万人未満 | 17 | 62.8万円 | 55.00万円 | 70.00万円 |
| 50万人以上 | 35 | 72.4万円 | 59.00万円 | 95.30万円 |
最高額・最低額は十円単位を四捨五入した公表値です。月18万円の市と月48万円の市では、議員という仕事の位置づけがまったく違います。前者は他に生業を持ちながら務めるのが前提になりますし、後者は議員活動を生活の中心にできます。
なお特別区(東京23区)の平均は63.0万円、政令指定都市20市の平均は78.9万円です。こちらは人口段階別の集計とは別枠で公表されています。
同じ調査には、全国815市ぶんの報酬月額と期末手当の支給割合が市ごとに一覧で載っています。ただし条例は改正されるため、立候補を考えている市の議会事務局に、次の3点を直接確認してください。
- 議員報酬の月額——条例の現在の額
- 期末手当の有無と支給割合——地方自治法203条3項により条例がなければ支給されません
- 委員長職などへの加算の有無——常任委員長への加算がある市は221市(全815市の27.1%)、平均加算額は月1.4万円です
報酬が生活費に足りるかどうかは、選挙資金の記事で扱っている「選挙にかかるお金」とは別の問題です。当選後の4年間をどう回すかまで含めて計画を立ててください。
当選したあとの話
任期は4年
市議会議員の任期は4年です。地方自治法93条1項が定めています。任期途中の解散や辞職がなければ、4年ごとに選挙があります。多くの自治体は統一地方選挙のサイクルに乗っていますが、市町村合併などの経緯で独自の日程になっている自治体もあります。
仕事の中身
年4回の定例会に加えて、委員会、視察、住民からの相談対応、地域行事への参加。議場にいる時間より、その外で動いている時間のほうが長いのが実際です。会社員をしながら議員を務めている方も各地にいます。
事務所をどうするか
当選後の活動拠点をどこに置くかも、早めに考えておく論点です。選挙期間中の選挙事務所は公費負担の対象ではありません。相場と抑え方は選挙事務所の費用の記事にまとめています。外部に支援を頼む場合の相場感は選挙コンサルの費用の記事をご覧ください。
よくある質問
政党に入っていないと不利ですか?
市議会議員選挙では無所属の議員が多数を占める自治体も珍しくありません。政党の組織力は確かに武器になりますが、市議選は選挙区が狭く、候補者本人と有権者の距離が近い選挙です。日々の活動の積み重ねが票につながりやすい構造だと言えます。
引っ越してきたばかりですが、次の選挙に出られますか?
転入届を出した日から告示日までに、引き続き3か月以上その市区町村に住所があれば出られます。3か月に満たない場合は次の選挙を待つことになります。日数の数え方は微妙なケースもあるため、選挙管理委員会で具体的な日付を伝えて確認してください。
いま24歳です。25歳の誕生日が選挙の直前に来るのですが、出られますか?
公職選挙法10条2項により、年齢は選挙の期日(投票日)で算定します。投票日までに満25歳になっているなら、告示日に24歳でも立候補できます。告示日の時点で25歳である必要はありません。ただし日付の数え方は確実に押さえておきたいところなので、誕生日と投票日を伝えて選挙管理委員会に確認してください。
何票取れば当選できますか?
法律上の最低ラインは法定得票数です。法95条1項3号により、議員の定数で有効投票の総数を割った数の4分の1以上が必要です。ただしこれは最低ラインにすぎません。実際の当選ラインは候補者数と票の割れ方で決まるので、前回の選挙の最下位当選者の得票数を見るのが最も実際的です。過去の選挙結果は選挙管理委員会のホームページで公表されています。
落選したらどうなりますか?
供託金が返ってくるかどうかは、法93条1項3号の没収点で決まります。議員の定数で有効投票の総数を割った数の10分の1に達していれば、供託金は全額返還されます。条文は「達しないとき」に没収すると書いているので、ちょうど達した場合も返還されます。このラインに達していれば、選挙カー・ポスター・ビラの公費負担の条件も満たします。届かなかった場合は供託金が没収され、これらの費用も自己負担になります。
公務員です。いつ辞めればいいですか?
法89条1項により、公務員は在職中、公職の候補者になれません。そして法90条により、立候補の届出をした日に公務員たることを辞したものとみなされます。法律上は届出で自動的に退職扱いになりますが、退職金や共済、引き継ぎの手続きには時間がかかります。告示日から逆算して、数か月前から人事課と相談を始めてください。なお非常勤の消防団員・水防団員は、法89条1項4号により在職中でも立候補できます。
自治体から仕事を受けている会社の役員ですが、議員になれますか?
立候補そのものは可能です。制限がかかるのは当選後です。地方自治法92条の2により、その自治体に対して請負をする者やその法人の取締役・監査役などは議員になれません。ただし各会計年度に支払を受ける請負の対価の総額が300万円を超えない場合は、この制限から除かれます(地方自治法施行令121条の2)。年間の受注額と、議会の請負公表規程の有無を、議会事務局で確認してください。
議員報酬だけで生活できますか?
自治体によります。全国市議会議長会の調査(令和7年12月31日現在)では、全国815市の議員の平均報酬月額は42.9万円です。ただし人口5万人未満の市では平均34.2万円で、最低18.00万円から最高48.00万円まで開いています。月18万円の市では、他に生業を持ちながら務めるのが前提になります。期末手当の有無も条例次第です。立候補を考えている市の議会事務局で、報酬月額・期末手当の支給割合・委員長職への加算の3点を確認してください。
準備はいつから始めるべきですか?
公務員を辞める必要がある方、後援会を一から作る方は、1年以上前から動いている例が多いです。最低でも、立候補予定者説明会が開かれる告示日の1〜2か月前には態勢が整っている必要があります。まず選挙管理委員会で次の選挙の日程を確認するところから始めてください。月単位の逆算は準備スケジュールの記事にまとめています。
選挙運動はいつから始められますか?
法129条により、選挙運動ができるのは立候補の届出があった日から選挙の期日の前日までです。指定都市以外の市の市議会議員選挙では、法33条5項4号により告示は少なくとも7日前なので、選挙運動期間は7日間になります。それ以前に投票を呼びかけるのは事前運動として禁止されています。一方で、政治活動としての後援会活動は告示日前から可能です。この線引きは誤解が多いところなので、具体的な活動内容を選挙管理委員会に確認してください。
まとめ
市議会議員になるための法律上の条件は、満25歳以上であることと、その市に引き続き3か月以上住んでいることの2つだけです。学歴も、資産も、政党の推薦も問われません。
- まず選挙管理委員会に行く——日程、定数、公費負担の条例。すべて無料で教えてもらえます
- 年齢は投票日で数える——告示日に24歳でも、投票日までに25歳なら立候補できます(法10条2項)
- 住所要件は「引き続き3か月」——住民票だけでなく生活の実態が問われます
- 公務員は届出の日に辞職したものとみなされる——法90条。人事手続きは逆算して早めに
- 必ず要るお金は供託金——指定都市以外の市議選は30万円、指定都市は50万円、町村議選は15万円
- 没収点に達すれば供託金は返還され、公費負担も受けられる——定数で有効投票総数を割った数の10分の1です
- 議員報酬は自治体によって2倍以上違う——全国815市の平均は月42.9万円。議会事務局で条例の額を確認してください
立候補できるかどうかの確認から、選挙の準備まで
0円選挙.COMは、ポスターとビラを公費負担の範囲内で制作します。候補者の持ち出しは0円です。街宣車の手配、供託や立候補届出の書類作成も行政書士が代行します。政治現場10年以上の実務者と、京都大学大学院で研究を続けるメンバーが、あなたの状況を伺ったうえでご提案します。相談は無料です。
出典
- e-Gov 法令検索「公職選挙法」(9条・10条・11条・11条の2・33条・89条・90条・92条・93条・95条・129条・141条・252条) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100
- e-Gov 法令検索「地方自治法」(92条・92条の2・93条・203条) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000067
- e-Gov 法令検索「地方自治法施行令」(121条の2・請負の額は300万円) https://laws.e-gov.go.jp/law/322CO0000000016
- 全国市議会議長会「市議会議員報酬に関する調査結果(令和7年12月31日現在)」 https://www.si-gichokai.jp/research/teisu/1208461_1954.html
- 総務省「選挙権と被選挙権」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo02.html
- 総務省「立候補を目指す方へ」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo18.html
- 神戸市「選挙で立候補するためには、どのような要件が必要ですか?」 https://faq.city.kobe.lg.jp/faq/show/4024
- 琴浦町「地方自治法<抜粋>(議員の兼職禁止)第92条の2」 https://www.town.kotoura.tottori.jp/docs/2018062500053/files/jichihoubassui92jyou.pdf
- 福岡法務局「公職選挙法による供託手続について」 https://houmukyoku.moj.go.jp/fukuoka/page000001_00724.pdf