選挙費用

選挙カーの公費負担を完全活用|上限額・レンタル相場・手配の全手順

選挙カーの公費負担はいくら?1日の上限額と7日間の限度額、レンタル相場のうち自己負担になる費用、契約から請求までの手順を条文と各選管の公表資料で解説。計算ツールつき。

選挙カーは、候補者の名前を選挙区のすみずみまで届ける道具です。一方で、レンタル業者の料金表を見ると30万円前後の数字が並び、「車だけでこんなにかかるのか」と手が止まる方も多いはずです。

実は、選挙カーの公費負担を使えば、車両の借入れ・燃料・運転手の費用を自治体が業者へ直接支払ってくれます。この記事では、1日あたりの上限額と選挙ごとの限度額、レンタル相場のうち公費で足りる部分と足りない部分、契約から請求までの手順を、公職選挙法・施行令と選挙管理委員会の公表資料にもとづいて整理しました。あなたの条件で限度額と自己負担額を試算できるツールも用意しています。

この記事は2026年10月時点の公職選挙法・公職選挙法施行令および各自治体の公表資料にもとづいています。地方選挙の選挙カーの公費負担は各自治体の条例で定められるため、上限額や手続きは自治体によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ずお住まいの選挙管理委員会にご確認ください。

結論:選挙カーの公費負担は「1日の上限×選挙運動の日数」で決まる

選挙カーの公費負担額は、「1日あたりの上限額」×「選挙運動の日数」で決まります。ポスターのように掲示場の数で変わる計算はありません。自治体の条例が国の基準に準じていれば、同じ日数の選挙なら限度額は全国ほぼ同じです。

上限額は契約の方式で2通りあります。タクシー・ハイヤー会社に車両・燃料・運転手をまとめて頼むハイヤー方式と、レンタカー会社・ガソリンスタンド・運転手と別々に契約する個別契約方式です。公職選挙法施行令第109条の4に定める国の基準では、次の額になります。

ハイヤー方式(1日あたり) 64,500円 車両・燃料・運転手を含む運送契約の上限。市議会議員選挙の7日間なら451,500円です
個別契約方式(1日あたりの合計) 36,300円 車両16,100円+燃料7,700円+運転手12,500円。7日間なら254,100円です
浦安市の公表値(市議会議員選挙・7日間) 254,100円 車両112,700円+燃料53,900円+運転手87,500円。国の基準と同じ額です

選挙カーの公費負担、まず押さえる5つのこと

  • 地方選挙では、自治体の条例があってはじめて公費負担の対象になります(公職選挙法第141条第8項)
  • 公費は候補者に振り込まれません。自治体が業者や運転手へ直接支払います
  • 対象は車両の基本料金・燃料・運転手の報酬の3つだけです。看板やスピーカーは自己負担です
  • 供託物が没収される得票だと、公費負担は受けられません。車の費用は全額自己負担になります
  • 金額は条例で決まるため、自治体によって異なる場合があります。契約前に選挙管理委員会で確認してください
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公費負担の対象になる費用、ならない費用

「選挙カーの費用」と一口に言っても、車両代、燃料代、運転手の人件費、看板、スピーカー、取付工賃など、中身はいくつもあります。公費で払われるのはそのうち3つだけです。ここを取り違えると、公費で出ると思っていた費用がそのまま自己負担になります。

根拠は公職選挙法第141条と、自治体の条例

公職選挙法第141条第1項は、地方議会の議員と首長の選挙で使える選挙運動用の自動車を候補者1人につき1台(または船舶1隻)と定めています。使える車は乗車定員10人以下・車両総重量3.5トン未満のものです(同条第6項。2026年1月1日施行の令和7年法律第20号で全選挙共通になりました)。

そして同条第8項が、地方公共団体は「条例で定めるところにより、公職の候補者の第一項の自動車の使用について、無料とすることができる」と定めています。「しなければならない」ではなく「できる」です。具体的な上限額と契約の区分は、国政選挙の基準を定めた公職選挙法施行令第109条の4にあり、自治体の条例はこれに「準じて」作られています。条例の有無と中身は、選挙公営制度の記事でポスター・ビラとあわせて整理しています。

対象は「車両本体・燃料・運転手」の3つだけ

紀北町選挙管理委員会のQ&A(2025年9月)と芦屋市の手引をもとに、費目ごとの扱いを一覧にしました。

費用の種類 公費負担 補足
車両の借入れ(レンタカーの基本料金) 対象 1日16,100円まで。基本料金には車両本体と対人・対物の保険が含まれるのが一般的です
燃料(ガソリン・軽油) 対象 選挙運動期間中の給油の合計が、7,700円×日数まで
運転手の報酬(個人との雇用契約) 対象 1日1人・12,500円まで。実際に選挙カーを運転した日だけ
タクシー・ハイヤー会社との一括契約 対象 車両・燃料・運転手込みで1日64,500円まで。燃料・運転手の公費との併用はできません
看板の製作・取付、看板のレンタル 対象外 車両本体以外の費用。公職選挙法第143条の看板は別の規定で、地方選挙では公費の対象になりません
スピーカー・アンプ・マイクのレンタル 対象外 亘理町・紀北町とも「スピーカー等の付帯料金は対象になりません」と明記
免責補償料・ルーフキャリアなどのオプション 対象外 基本料金の外側にある付帯料金は対象外です(紀北町Q&A)
法人との運転手派遣契約 対象外 運転手は個人との契約に限ります。ハイヤー契約なら法人と契約できます
運転手の宿泊代・交通費 対象外 対象は運転業務に対する報酬だけです
選挙事務所の連絡用など2台目以降の車 対象外 対象は選挙運動用自動車1台分のみ。その車の燃料も対象外です
告示前・投票日以降の借入れと給油 対象外 対象期間は告示日から投票日の前日まで。投票日当日の給油も対象外です
生計を一にする親族からの借入れ・親族の運転 原則対象外 その親族がレンタカー業や運転を業として行っている場合だけ対象になります

とくに注意したいのが看板とスピーカーです。レンタカー業者が看板やスピーカーの取付まで込みで「選挙カー一式」として契約する場合、公費の対象は基本料金の部分だけです。紀北町のQ&Aは、車両本体とそれ以外の費用を明示した有償契約を結ぶ必要があり、契約書に書けない場合は見積書などの内訳明細書が要るとしています。見積りを受け取ったら、まず「車両の基本料金はいくらか」を確認してください。

ハイヤー方式と個別契約方式:上限額と選び方

ここからが金額の話です。契約の方式によって、上限額の計算も、契約の本数も、選べる業者も変わります。

ハイヤー方式:1日64,500円で車両・燃料・運転手込み

施行令第109条の4第2項第1号の「一般運送契約」です。契約の相手は、道路運送法第3条第1号ハの一般乗用旅客自動車運送事業者、つまりタクシー・ハイヤー会社に限られます(紀北町Q&A、芦屋市手引)。車両・燃料・運転手がひとつの契約に入り、1日1台につき64,500円までが公費です。燃料や運転手の公費負担をこれと併用することはできません。

契約は1本で済み、運転のプロが付きます。一方で、選挙カー用の看板やスピーカーの取付に対応しているタクシー会社は限られます。また1日の料金が64,500円を超えれば、超えた分は自己負担です。

個別契約方式:車両16,100円+燃料7,700円+運転手12,500円

施行令第109条の4第2項第2号の「一般運送契約以外の契約」です。レンタカー会社と車両の借入れ契約、ガソリンスタンドと燃料供給契約、運転手個人と雇用契約の3本を結びます。多くの新人候補が選ぶのはこちらです。

個別契約方式の限度額(1日あたりの合計)

車両の借入れ 16,100円/日
+
燃料 7,700円/日
+
運転手の報酬 12,500円/日
=
1日の合計 36,300円

車両と運転手は「各日の料金」にそれぞれ上限がかかります。燃料だけは計算が違い、選挙運動期間中に給油した合計額と「7,700円×日数」の低いほうが公費負担額です(紀北町Q&A)。初日に多く給油して後半が少なくても、期間全体で枠に収まっていれば問題ありません。

選挙の種類ごとの限度額

公費の対象期間は、告示日から投票日の前日までの選挙運動期間です。日数は公職選挙法第33条第5項で選挙ごとに決まっています。国の基準の単価を当てはめると、限度額は次のようになります。

選挙の種類 選挙運動の日数 ハイヤー方式の限度額 個別契約方式の限度額
町村議会議員・町村長 5日 322,500円 181,500円
市議会議員・市長・特別区議会議員・特別区長 7日 451,500円 254,100円
都道府県議会議員・指定都市議会議員 9日 580,500円 326,700円
指定都市の市長 14日 903,000円 508,200円
都道府県知事 17日 1,096,500円 617,100円

5日間の額は亘理町と坂祝町の公表値(ハイヤー322,500円、個別181,500円)と一致し、7日間の額は浦安市の公表値と一致します。ただし、条例の単価を国の基準より低く定めている自治体や、条例そのものがない町村もあります。自治体によって異なる前提で、必ずあなたの自治体の条例で確認してください。

選挙運動の日数別に見た選挙カー公費負担の限度額(ハイヤー方式と個別契約方式) 選挙カーの限度額は、日数と契約方式で決まる 公職選挙法施行令第109条の4の単価で計算。濃い棒がハイヤー方式、薄い棒が個別契約方式 町村議・町村長(5日) 322,500円 181,500円 市議・市長(7日) 451,500円 254,100円 都道府県議(9日) 580,500円 326,700円 ハイヤー方式(64,500円/日) 個別契約方式(36,300円/日) 市議会議員選挙の個別契約方式(ピンク)は、浦安市の公表値254,100円と同じ額です。 上限は条例で定めるため、実際の額は自治体によって異なる場合があります。
図1:選挙運動の日数別に見た選挙カーの公費負担の限度額。ハイヤー方式のほうが枠は大きいですが、契約できる相手がタクシー・ハイヤー会社に限られます。

どちらを選ぶか:同じ日に両方は使えない

施行令第109条の4第3項は、同じ日にハイヤー契約と個別契約の両方があるときは、候補者が指定するどちらか一方だけを公費の対象にすると定めています。日ごとに切り替えることはできますが、ふつうは期間を通して1つの方式で組みます。

比べる点 ハイヤー方式 個別契約方式
契約の相手 タクシー・ハイヤー会社に限る レンタカー会社・ガソリンスタンド・運転手個人(親族を除き相手の制限なし)
契約の本数 1本 3本(車両・燃料・運転手)
1日の上限 64,500円 36,300円(16,100+7,700+12,500)
運転手 会社の乗務員が付く 自分で探して個人と契約する
看板・スピーカー 対応できる会社が限られる。費用は自己負担 選挙カー専門のレンタカー会社なら一式そろう。費用は自己負担
向いている人 運転手の確保が難しく、対応できるタクシー会社が地元にある人 支援者に運転手を頼める人。費用を細かく管理したい人

私たちが手配する街宣車は、個別契約方式を基本にしています。理由は2つです。選挙カー専門のレンタカー会社なら看板・音響込みで車両を確保でき、運転手は支援者や地元の方と雇用契約を結ぶことで、3本の契約すべてを公費の枠に収めやすいからです。

選挙カーのレンタル相場:公費で足りる部分、足りない部分

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。選挙カー専門のレンタカー会社の料金表は、たいてい「公費負担額+自己負担額」の形で書かれています。公費で出るのは車両の基本料金の部分だけなので、看板・スピーカー・アンプ・取付といった装備の費用が自己負担として残るためです。

業者の公表料金で見る自己負担額

2026年10月時点で各社のサイトに掲載されている、市議会議員選挙(7日間)向けの料金です。いずれも「車両+看板+音響一式」のセットで、金額は税別・税込の表記が各社で異なります。

業者(公表ページ) 公費負担として計上している額 自己負担額 合計
選挙レンタカーV(7日間プラン) 112,700円 189,000円 301,700円
選挙レンタカー(軽ワンボックス・市区議会議員7日) 110,600円 198,000円 308,600円
選挙レンタカー(ミニバン・市区議会議員7日) 110,600円 258,000円 368,600円
えらぶカー(選挙期間プラン・平時の単独選挙) 公費は別途 198,000円〜(看板セット追加は+100,000円) 公費+198,000円〜

公費負担として計上されている額に注目してください。112,700円は16,100円×7日で、現在の国の基準どおりです。一方の110,600円は15,800円×7日で、改定前の単価のままの表記です(芦屋市の平成31年の手引が15,800円でした)。業者の料金表は目安ですので、契約書に書く1日あたりの基本料金が、あなたの自治体の条例の上限に収まっているかを自分で確かめてください。

選挙カーレンタル3プランの料金の内訳(公費負担部分と自己負担部分) レンタル料金の約6割は、公費の外側にある 市議会議員選挙(7日間)向けプラン。各社の公表料金表にもとづく。青が公費負担部分、オレンジが自己負担部分 選挙レンタカーV 合計301,700円 112,700円 189,000円 選挙レンタカー(軽) 合計308,600円 110,600円 198,000円 選挙レンタカー(ミニバン) 合計368,600円 110,600円 258,000円 公費負担として計上されている部分(車両の基本料金) 自己負担部分(看板・スピーカー・アンプ・取付など) 料金は2026年10月時点の各社公表値。税別・税込の別は各社で異なります。運転手と燃料の公費は別に使えます。
図2:選挙カーレンタル3プランの料金の内訳。車両の基本料金は公費で収まりますが、装備一式の19万〜26万円が自己負担として残ります。

自己負担を減らす組み立て方

自己負担を減らす考え方は2つです。1つは装備の費用そのものを下げること。看板は4面すべてを印刷しなくても、名前と顔が見える面があれば機能します。音響は中古や支援者からの借用で済ませる候補者もいます。もう1つは運転手と燃料の公費を使い切ることです。運転手を支援者に頼み、雇用契約を結んで1日12,500円の枠を使えば、7日間で87,500円が公費から出ます。

ケースA:看板・音響込みで「一式30万円」と契約

内訳不明で公費が出ない恐れ 契約書に車両の基本料金が書かれていないと、どこまでが公費の対象か選挙管理委員会が判断できません。内訳明細を後から求められ、最悪の場合は車両分の請求も通りません。

金額が同じでも、契約の書き方で結果が変わる

ケースB:車両「1日16,100円×7日」と装備「187,300円」に分けて契約

車両分112,700円が公費負担 同じ合計30万円でも、車両の基本料金を1日単位で明示しておけば、その分は上限の範囲内で公費が業者へ支払われます。装備分は最初から自己負担として予算に入れておきます。

「車両」と「それ以外」を分けて書くのが基本

月極で借りる場合と、統一地方選挙の注意点

告示前の政治活動から同じ車を使いたい場合、月極で借りる候補者もいます。紀北町のQ&Aは、1日あたりの金額を決めずに「1か月○○万円」と契約した場合、契約金額を契約日数で割った1日あたりの額(16,100円を超えるときは16,100円)に、選挙運動期間中に使った日数を掛けた額を公費の対象にするとしています。例として、31日間155,000円の契約なら1日5,000円、5日間の選挙で25,000円です。

もう1つ、2027年春の統一地方選挙を目指す方への注意です。全国で選挙が重なるため、選挙カーの確保が難しくなります。えらぶカーは統一地方選向けの料金を1台450,000円〜(公費別途)とし、平時の約2.3倍に設定しています。車両は早めに押さえる。これは費用面でも大切です。いつ何を準備するかは選挙準備スケジュールの記事で逆算できます。

選挙カー公費負担の計算ツール

選挙の種類(日数)と契約方式を選ぶと、公費負担の限度額が出ます。業者の見積り(1日あたりの料金、燃料の見込み、運転手の報酬)を入れると、公費で支払われる額と自己負担額の目安もわかります。

選挙カー 公費負担計算ツール

公職選挙法施行令第109条の4の単価で、限度額・公費負担額・自己負担額の目安を計算します

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手配から請求までの全手順

選挙カーの公費負担は、ポスターやビラより書類が多くなります。個別契約方式なら契約が3本あり、燃料には確認申請も必要です。芦屋市の手引と紀北町のQ&Aにもとづき、流れを整理します。

  1. 選挙管理委員会で条例と上限額を確認する「選挙運動用自動車の公費負担の条例はありますか」「1日の上限額はいくらですか」「様式はどこで入手できますか」。この3つを聞けば、計画が立てられます。立候補予定者説明会で様式一式をもらっておくと確実です。
  2. 車両を確保し、借入れ契約を結ぶ相手はレンタカー会社でも、修理工場や知人でも構いません(生計を一にする親族を除く)。契約書には、有償であること、契約期間、契約金額とその内訳、車種と登録番号、契約年月日、借受人が候補者本人であることを書きます(紀北町Q&A)。看板・音響の費用は車両の基本料金と分けて書きます。
  3. ガソリンスタンドと燃料供給契約を結ぶ給油する店ごとに契約が必要です。2社以上と契約しても、合計が上限の範囲内なら公費の対象になります。
  4. 運転手と雇用契約を結ぶ必ず個人との契約です。法人の運転手派遣は対象外です。期間中に運転手を日ごとに替える場合は、それぞれと契約します。
  5. 契約届出書を選挙管理委員会に出す契約書の写しを添えます。立候補届出の前に契約した場合は立候補届出の時に、届出の後に契約した場合は契約後ただちに提出します。個別契約方式では、車両・燃料・運転手それぞれの契約書の写しが必要です。
  6. 選挙管理委員会の表示(標章)を車に付ける公職選挙法第141条第5項により、選挙運動用自動車には選挙管理委員会の定める表示を付けなければなりません。公費の対象になる車は、この表示を付けた1台です。
  7. 期間中は給油伝票と運転日を記録する給油伝票には給油日・給油量・車両番号・金額が必要です(芦屋市手引)。紀北町は、期間前日に満タンにし、各日の運動が終わった時点で給油することを勧めています。運転手が実際に運転した日も控えておきます。
  8. 燃料代の確認申請をする燃料については、金額が上限の範囲内であることの確認を選挙管理委員会から受けます。確認書が交付されたら、すぐガソリンスタンドに渡します。
  9. 使用証明書を業者・運転手に渡す候補者が「この車を使った」「この人が運転した」と証明する書類です。実績にもとづいて契約の履行後ただちに作り、業者・運転手に交付します。
  10. 選挙後、業者・運転手が自治体に請求し、自治体が直接支払う業者が請求書と請求内訳書に、使用証明書や確認書、給油伝票の写しを添えて請求します。候補者が立て替える必要はありません。供託物の没収の有無が確定してからの支払いになります。
書類(芦屋市の手引の名称) 誰が出すか いつ
選挙運動用自動車の使用の契約届出書(契約書の写し添付) 候補者 → 選挙管理委員会 立候補届出の時(届出後の契約なら契約後ただちに)
選挙運動用自動車燃料代確認申請書 → 確認書の交付 候補者 → 選挙管理委員会 → ガソリンスタンド 請求の前
選挙運動用自動車使用証明書(自動車・燃料代・運転手の3種) 候補者 → 業者・運転手 契約の履行後ただちに
請求書・請求内訳書(燃料は給油伝票の写し添付) 業者・運転手 → 自治体 選挙期日後、供託物の没収の有無が確定した後

様式の番号と提出方法は自治体ごとに違います。立候補届出の書類とあわせて準備すると漏れが減ります。告示日前後の書類全体の流れは立候補の手続きの記事にまとめています。

自己負担が増えてしまう7つの落とし穴

制度を知っていても、実務でつまずくポイントは決まっています。私たちが現場で見てきた中で、とくに多い7つを挙げます。

1. 供託物が没収されると、公費はゼロになる

選挙カーの公費負担には、「供託物が没収されないこと」という条件があります(公職選挙法第141条第7項ただし書を第8項で準用)。得票が没収点に届かなければ、車両・燃料・運転手の費用は全額自己負担です。しかも、それが分かるのは選挙が終わったあとです。市議会議員選挙の没収点は「有効投票総数÷議員定数×10分の1」。計算方法は選挙の供託金の記事で選挙種別ごとに整理しています。

2. 看板・音響込みで契約し、内訳を書かない

ケースAで見たとおりです。「選挙カー一式」の契約書に車両の基本料金が書かれていないと、公費の対象額が確定しません。車両の基本料金を1日単位で明記し、装備は別の項目にする。契約書の書き方ひとつで、十数万円の公費が出るか出ないかが決まります。

3. 家族の車を借り、家族に運転してもらう

生計を一にする親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)から車を借りても、親族に運転してもらっても、その親族がレンタカー業や運転を業として行っていない限り公費の対象になりません(施行令第109条の4第1項、紀北町Q&A)。家族の協力は心強いですが、公費の面では別の相手と契約したほうが得です。

4. 運転手を派遣会社に頼む

運転手の公費は個人との雇用契約に限られます。法人との運転手派遣契約は対象外です(紀北町Q&A、芦屋市手引)。運転のプロに頼みたいなら、ハイヤー方式でタクシー・ハイヤー会社と契約する形になります。

5. 告示前から借りた分や、投票日の給油を請求する

対象期間は告示日から投票日の前日までです。告示前の準備期間の借入代金、投票日当日の給油は対象外です。期間の前後を含めて借りる場合は、契約書にその期間を書いたうえで、公費の対象は選挙運動期間だけと理解しておきます。

6. 給油伝票をなくす

燃料の請求には給油伝票の写しが必須です。給油日・給油量・車両番号・金額が書かれたものを、1枚残らず保管してください。レシートに車両番号が入らない店もあるので、契約時にスタンドへ伝えておきます。

7. 業者の料金表の数字をそのまま信じる

公費負担額として改定前の単価で計算された料金表もあります。また、業者の料金表は国の基準で書かれていて、あなたの自治体の条例が同じ単価とは限りません。条例の上限額と契約書の1日あたり料金を、自分の目で突き合わせる。この一手間が、後からの差額請求を防ぎます。

「一式いくら」の見積りは、そのまま契約しないでください

公費で支払われるのは車両の基本料金・燃料・運転手の報酬だけです。看板・スピーカー・取付・免責補償は自己負担になります。見積りを受け取ったら、車両の基本料金が1日いくらかを必ず確認し、契約書にその額を書いてもらってください。上の計算ツールに基本料金と装備費を入れれば、自己負担額がすぐにわかります。

MOPPsにご依頼いただいた場合

街宣車(選挙カー)の手配を行います。まずあなたの自治体の条例を取り寄せ、上限額と様式を確定させます。そのうえで、車両の基本料金が上限に収まる業者を選び、車両・燃料・運転手の3本の契約書を公費の要件に沿って整え、選挙管理委員会への届出から燃料代の確認申請、使用証明書の交付までお手伝いします。ポスターとビラは公費負担の範囲内で制作し、候補者の持ち出しは0円です。詳しくは0円選挙.COMのサービス案内をご覧ください。

よくある質問

自分の車を選挙カーにした場合、公費負担はどうなりますか?

車両の借入れについては、自分の車なので契約が成り立たず、公費は出ません。一方で、燃料と運転手は別の契約なので、ガソリンスタンドと燃料供給契約を結び、運転手個人と雇用契約を結んで届け出れば、それぞれ公費の対象になります。燃料だけでも7日間で最大53,900円分です。

無投票で当選した場合、選挙カーの費用はどうなりますか?

浦安市は「選挙が無投票となった場合は、届け出日1日のみで計算」と案内しています。紀北町も、車両の借入れとハイヤー方式は告示日の1日分、燃料は告示日の使用分のみが対象としています。7日間の契約で借りていても、公費が出るのは1日分です。残りは自己負担になるため、契約時に無投票の場合の扱いを業者と決めておいてください。

落選しても公費負担は受けられますか?

受けられます。条件は当落ではなく、供託物が没収されない得票を得たかどうかです。市議会議員選挙なら「有効投票総数÷議員定数×10分の1」以上の得票があれば、落選しても車両・燃料・運転手の公費負担の対象になります。

軽トラックやバンを選挙カーにできますか?

できます。2026年1月1日以後の選挙では、公職選挙法第141条第6項により、乗車定員10人以下・車両総重量3.5トン未満であれば選挙の種類を問わず使えます。改正前は市議会議員選挙で小型貨物自動車が使えないなどの制限がありましたが、その条文(施行令旧第109条の3)は削除されました。公費の上限額はこの改正で変わっていません。

運転手を日によって替えても公費は出ますか?

出ます。紀北町のQ&Aは、同じ日に運転が重ならなければ、それぞれの運転手が公費の対象になるとしています。ただしそれぞれと雇用契約を結ぶ必要があります。同じ日に2人が運転した場合は、候補者が指定する1人だけが対象です。

選挙カーの費用は、選挙運動費用収支報告書に書く必要がありますか?

公職選挙法第197条第2項により、第141条の自動車を使用するために要した支出は選挙運動に関する支出とみなされません。紀北町のQ&Aも、選挙運動用自動車の費用は収支報告書への計上が不要としています。一方、ポスターとビラの作成費は計上が必要です。法定制限額の計算にも影響しますので、市議会議員選挙の費用の記事とあわせてご確認ください。

町村の選挙でも選挙カーの公費負担は使えますか?

条例があれば使えます。2020年(令和2年)の公職選挙法改正で、町村議会議員選挙と町村長選挙も条例による公営の対象になりました。亘理町(宮城県)や坂祝町(岐阜県)は条例を定め、5日間でハイヤー方式322,500円、個別契約方式181,500円の限度額を公表しています。ただし条例を作るかどうかは町村の判断です。町村の事情は町議会議員選挙の費用の記事にまとめています。

公費はいつ、誰に支払われますか?

選挙が終わり、供託物の没収の有無が確定した後に、自治体から業者・ガソリンスタンド・運転手へ直接支払われます。候補者が立て替えて後から受け取る制度ではありません。業者からすると入金まで時間が空くので、契約の時点で支払い時期を伝え、了解を得ておいてください。

まとめ

選挙カーの公費負担は、1日の上限額に選挙運動の日数を掛けて決まります。市議会議員選挙の7日間なら、ハイヤー方式で451,500円、個別契約方式で254,100円が目安です。公費で出るのは車両の基本料金・燃料・運転手の報酬だけで、看板や音響は自己負担です。契約書の書き方と書類の順番を守れば、車両の費用は公費負担の範囲内に収められます。

  • 条例の有無と1日の上限額を選挙管理委員会に聞く——自治体によって異なる場合があります
  • ハイヤー方式か個別契約方式かを決める——同じ日に両方は使えません
  • 車両の基本料金と、看板・音響の費用を分けて契約する——内訳がないと公費の対象額が決まりません
  • 運転手は個人と、燃料はスタンドごとに契約する——親族と法人派遣は対象外です
  • 契約届出・燃料代確認申請・使用証明書を期限内に出す——抜けると上限内でも支払われません
  • 給油伝票を全部残し、前日に満タンにしておく——期間中の給油だけが対象です
  • 統一地方選挙なら車両を早めに押さえる——確保が難しく、料金も上がります

選挙カーは、制度を正しく使えば持ち出しを大きく減らせる費目です。選挙カー以外も含めた選挙全体の費用は選挙の費用相場の記事で選挙の種類別に確認できます。

街宣車の手配から届出まで。ポスターとビラは持ち出し0円で、まとめてお任せください

0円選挙.COMは、街宣車(選挙カー)の手配を、車両・燃料・運転手の契約から選挙管理委員会への届出、燃料代の確認申請まで一括で行います。あなたの自治体の条例を取り寄せ、上限額を確定させたうえで、車両の基本料金が枠に収まる組み立てをご提案します。選挙ポスターとビラは公費負担の範囲内で制作し、候補者の持ち出しは0円です。政治現場10年以上の実務者と、京都大学大学院で研究を続けるメンバーが対応します。相談は無料です。

出典

  1. e-Gov法令検索「公職選挙法」第33条・第100条・第141条・第197条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100
  2. e-Gov法令検索「公職選挙法施行令」第109条の4 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000089
  3. 総務省「なるほど!選挙/選挙公営」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo16.html
  4. 総務省「公職選挙法の一部を改正する法律要綱(選挙運動に関する規格の簡素化)」令和7年法律第20号 https://www.soumu.go.jp/main_content/001002901.pdf
  5. 浦安市「選挙運動費用の公費負担」 https://www.city.urayasu.lg.jp/shisei/senkyo/senkyo/1003176.html
  6. 亘理町「選挙運動費用の公費負担(選挙公営)制度」 https://www.town.watari.miyagi.jp/town/detail.php?content=1277
  7. 坂祝町「選挙運動の公費負担(選挙公営)制度について」 https://www.town.sakahogi.gifu.jp/administration/administration34.html
  8. 紀北町選挙管理委員会「選挙公営(公費負担)制度Q&A」(2025年9月) https://www.town.mie-kihoku.lg.jp/wp-content/uploads/2025/09/bc3de661087da6dffe05e55655fb524a.pdf
  9. 芦屋市選挙管理委員会「芦屋市議会議員選挙 選挙公営(公費負担)の手引き」(平成31年。手続きの流れとQ&Aを参照。単価は当時の額のため本記事では用いていません) https://www.city.ashiya.lg.jp/senkyo/documents/31shigi_kouhifutan_tebiki.pdf
  10. 選挙レンタカーV「料金のご案内」 https://www.senkyocar-r.com/price/
  11. 選挙レンタカー「レンタル料金案内」 https://car-senkyo.com/price.html
  12. えらぶカー「選挙カーレンタルの料金」 https://erabu-car.com/price

本記事は2026年10月時点の公職選挙法・公職選挙法施行令および各自治体の公表資料にもとづいています。選挙運動用自動車の規格は、2026年1月1日に施行された令和7年法律第20号を反映しています。法令および各自治体の条例は改正される場合があります。公費負担の上限額は自治体によって異なる場合がありますので、実際の手続きにあたっては、必ずお住まいの選挙管理委員会にご確認ください。レンタル業者の料金は各社の公表値であり、変更される場合があります。

株式会社MOPPs/0円選挙.COM

選挙運動・政治活動支援/立候補手続きの行政書士代行

京都大学大学院の現役社会人学生を中心とした学生ベンチャーです。政治現場10年以上の実務者、政策立案の経験者、法科大学院出身者、AI研究者が在籍しています。選挙カー・ポスター・ビラを公費負担の範囲内で手配し、候補者の持ち出しを0円に近づける支援を行っています。TEL 050-8885-6420/senkyo@mopps.co.jp

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