立候補ガイド

選挙に立候補するには|手続き・必要書類・期限の完全ガイド

選挙に立候補するには何が必要?候補者届出書・供託証明書・宣誓書・戸籍謄本など必要書類の全体像と、説明会から告示日までの流れ、期限のある手続きを一覧で解説します。

立候補すると決めた。では、実際に何をどこへ出せばいいのか。ここで急に情報が少なくなります。選挙管理委員会のページを開いても、書類名が並んでいるだけで全体像がつかめない。何が必須で、何が条件付きで、いつまでに出すのか。

整理すると、立候補の届出そのものは告示日の1日で終わります。時間がかかるのはその手前の準備です。この記事では、説明会から届出当日までの流れ、必要書類の全体像、そして期限のあるものを、根拠となる条文とあわせて並べます。

この記事は2026年10月時点の公職選挙法・同法施行令および複数自治体の公表資料にもとづいています。条文は e-Gov 法令検索の現行施行版(公職選挙法:令和8年法律第27号による改正・2026年9月3日施行/同法施行令:令和7年政令第237号による改正・2026年9月24日施行)で確認しました。必要書類の名称や様式、受付時間、添付書類の有効期間の扱いは自治体によって異なります。必ずお住まいの自治体の選挙管理委員会でご確認ください。

結論:届出は1日、準備は数か月

立候補の届出を受け付けるのは告示日の1日だけです。公職選挙法86条の4第1項が「当該選挙の期日の公示又は告示があつた日に、郵便等によることなく、文書で」届け出ると定めているため、郵送も後日提出もできません。多くの自治体で午前8時30分から午後5時までの受付です。この日に書類が揃っていなければ、立候補できません。

説明会が開かれるのは 1〜2か月前 ここで書類一式が配られます。欠席すると揃いません
届出の受付は 告示日のみ 法86条の4第1項。郵送不可。この日を逃せば出られません
法令で定められた持ち物 4点 届出書・宣誓書・供託証明書・戸籍謄本(抄本)

立候補手続きで押さえるべきこと

  • 立候補予定者説明会に必ず出る。書類の様式はここで配られます
  • 事前審査を受ける。告示日前に書類を点検してもらえる仕組みです
  • 供託は告示日より前に済ませる。当日は窓口が混み合い、時間の制約もあります
  • 無所属なら所属党派証明書は不要。書類は思っているより少なくて済みます
  • 公務員でも、事前に辞表を出しておく必要はない。届出の日に辞職したものとみなされます(法90条)

あなたの選挙は、投票日の何日前に告示されるか

準備の締切は、投票日ではなく告示日です。そして告示日が投票日の何日前になるかは、選挙の種類によって法律で決まっています。公職選挙法33条5項が定める日数は次のとおりです。

選挙の種類告示は投票日の供託金ビラ(2種類以内)通常葉書
都道府県知事少なくとも17日前300万円10万枚〜(最大30万枚)3万5,000枚〜
指定都市の長少なくとも14日前240万円7万枚3万5,000枚
都道府県の議会の議員少なくとも9日前60万円1万6,000枚8,000枚
指定都市の議会の議員少なくとも9日前50万円8,000枚4,000枚
指定都市以外の市長少なくとも7日前100万円1万6,000枚8,000枚
指定都市以外の市議会の議員少なくとも7日前30万円4,000枚2,000枚
町村長少なくとも5日前50万円5,000枚2,500枚
町村の議会の議員少なくとも5日前15万円1,600枚800枚

告示日から投票日の前日までが選挙運動のできる期間です。市議会議員選挙なら実質7日間、町村議会議員選挙なら5日間しかありません。この短さが、準備をすべて告示日より前に終えておかなければならない理由です。

選挙の種類別・告示日は投票日の何日前か 告示は投票日の何日前か(公職選挙法33条5項) 棒の長さ=日数。この日数が、そのまま選挙運動のできる期間になります 都道府県知事 17日 指定都市の長 14日 都道府県の議会の議員 9日 指定都市の議会の議員 9日 指定都市以外の市長 7日 指定都市以外の市議 7日 町村長 5日 町村の議会の議員 5日
図1:告示は投票日の何日前か(公職選挙法33条5項)。地方議員に挑戦する人が関わるのは、ピンクで示した5日間または7日間です

2027年の統一地方選挙を狙う場合

2026年10月16日、2027年の統一地方選挙の期日を定める臨時特例法案が閣議決定され、同日に国会へ提出されました。法律案の2条では、告示日を知事3月25日・指定都市長3月28日・都道府県議および指定都市議4月2日・市および特別区4月18日・町村4月20日(いずれも2027年)としています。投票日は前半が4月11日、後半が4月25日です。

この日程は、まだ法案の段階です

2026年10月24日時点で、この法律案は国会で審議中であり、成立・公布はされていません。委員会への付託も確認できていません。臨時国会の会期は2026年12月12日までです。準備の目安としては使えますが、確定した日付として扱わないでください。成立後に変わる可能性があります。最新の状況と逆算スケジュールは2027年統一地方選挙の準備の記事で追っています。

立候補までの全体の流れ

  1. 選挙管理委員会に相談する次の選挙の日程、議員定数、ポスター掲示場の数、公費負担の条例。すべて無料で教えてもらえます。立候補予定者説明会の案内を受け取るためにも、早めに接触しておいてください。公費負担の対象と上限額は自治体の条例で決まるため、ここで条例を確認しておくと後の見積りが正確になります。選挙公営制度の記事で制度の全体像を解説しています。
  2. 立候補予定者説明会に出席する(告示日の約1〜2か月前)選挙管理委員会が開催します。日程や手続きの説明があり、立候補届出に必要な書類一式がここで配布されます。欠席すると様式が手に入らないため、必ず出席してください。代理人の出席を認める自治体もあります。柳井市の例では、選挙期日の約2か月前に開催されています。
  3. 戸籍謄本・住民票を取り寄せる戸籍の謄本または抄本は、施行令89条2項で届出書の添付文書と定められています。法令に有効期間の定めはありませんが、多くの自治体が「発行から概ね3か月以内」のものを求めます(高砂市・柳井市の例)。本籍地が遠方の場合は郵送請求に時間がかかるため、早めに動いてください。住民票は法令上の添付書類ではなく、住所確認のため選挙管理委員会が提出を依頼するものです。
  4. 供託金を法務局に預ける指定都市以外の市議会議員選挙なら30万円、市長選挙なら100万円(法92条1項)。告示日より前に済ませられます。受け取った供託証明書が届出書類のひとつになります。代理人が供託する場合は委任状が必要です。返還と没収の条件は供託金の記事にまとめています。
  5. 出納責任者を決め、選挙事務所の場所を決める出納責任者は法180条で1人の選任が義務づけられています。候補者本人が兼ねても構いません。選挙事務所は候補者1人につき1箇所まで(法131条1項5号)。選挙事務所の費用の記事で物件の選び方を解説しています。
  6. 事前審査を受ける告示日の前に、選挙管理委員会が書類を点検してくれます。不備をここで潰しておけば、当日の受付がスムーズです。
  7. ポスター・ビラ・選挙カーの契約と届出公費負担を受けるには、業者と有償契約を結び、契約書の写しを添えて契約届出書を提出します(施行令109条の4、110条の4ほか)。ビラを作る場合は証紙交付申請も必要です。品目ごとの手続きはポスターの公費負担の記事、選挙カーの公費負担の記事、選挙運動用ビラの記事に分けて書いています。
  8. 告示日に立候補を届け出る受付は午前8時30分から午後5時まで(自治体により異なります)。受理されると、選挙運動用の各種証票が交付され、ここから選挙運動が解禁されます。
逆算すると、動き始めるのは半年前です

告示日の1〜2か月前に説明会、その2〜3週間前に事前審査、さらにその前に供託と戸籍の取り寄せ。この順に並べると、書類の準備だけで2か月前後かかります。後援会の立ち上げや政治活動用ポスターの掲示を含めた全体の逆算は選挙準備スケジュールの記事に、資金の集め方は選挙資金の記事にまとめました。

届出に必要な書類の全体像

告示日に揃っていないと受け付けてもらえないもの

下の4点は、公職選挙法と施行令が直接定めているものです。1点でも欠けると受付できません。

書類内容と注意点根拠区分
候補者届出書氏名・本籍・住所・生年月日・職業を記載します。楷書で明確に。氏名・本籍・住所は戸籍謄本と完全に一致させる必要があります。年齢を書く欄がある場合は、届出日ではなく投票日(選挙期日)現在の満年齢です法86条の4
第1項・第3項
必須
宣誓書被選挙権を失う事由に該当しないことを誓う書面です。市町村議会議員選挙の場合は、投票日において住所要件を満たす見込みであることも誓います法86条の4
第4項3号・4号
必須
供託証明書法務局で供託した証明です。候補者となるべき者の氏名が記載されたものに限ります。代理人が供託した場合は委任状も必要になります施行令89条
2項1号イ
必須
戸籍の謄本または抄本法令に有効期間の定めはありませんが、発行から概ね3か月以内を求める自治体が多数です。本籍地が遠い場合は取り寄せに時間がかかります施行令89条
2項1号ロ
必須

自治体が様式を用意しているもの

法令が「届出書に書くこと」と定めている事項を、別の様式で提出させている自治体があります。扱いは自治体ごとに違うので、説明会の資料で確認してください。

書類内容区分
請負関係に関する届出書その自治体に対して地方自治法92条の2(議員)または142条(長)に定める請負の関係があるかどうかを記載します。関係がある場合は届出書への記載が法令上の義務です(施行令89条1項1号ロ(2))。柳井市・高砂市では「該当するか否か」を書いて提出する様式になっています実質必須
住民票の写し届出書の住所を確認するためのものです。法令上の添付書類ではありません。発行から3か月以内を求める例が一般的です依頼
候補者経歴調書報道機関からの照会に答えるための資料です(高砂市の例)依頼

あてはまる人だけ提出するもの

書類提出が必要になる場合区分
所属党派証明書届出書に政党名を記載する場合。無所属なら不要です。証明書がなければ「無所属」と記入します条件付き
通称認定申請書戸籍上の氏名ではなく通称(旧姓や漢字をかな書きにしたものなど)を使いたい場合。氏名は本名で書くのが原則です(施行令89条3項)条件付き
候補者推薦届出承諾書
選挙人名簿登録証明書
本人届出ではなく推薦届出の方法をとる場合(法86条の4第2項、施行令89条2項2号)条件付き
報酬を支給する者の届出書事務員・車上運動員(ウグイス嬢)・手話通訳者・要約筆記者に報酬を払う場合(法197条の2)条件付き
代理人証明書(委任状)届出や申請を候補者本人に代わって行う場合条件付き

選挙運動と公費負担のための届出

書類内容区分
選挙事務所設置届事務所を置く場合に提出します。候補者1人につき1箇所まで。休憩所など類似の設備を選挙運動のために設けることはできません運動関連
出納責任者選任届選挙運動費用の収支を管理する責任者を届け出ます。候補者本人でも構いません。この届出がないと選挙運動に関する支出ができません運動関連
証紙交付申請書選挙運動用ビラを作る場合。ビラには選挙管理委員会が交付する証紙を貼らないと頒布できません(法142条7項)。ビラの見本を添付します運動関連
各契約届出書+契約書の写し選挙運動用自動車・ポスター・ビラの公費負担を受ける場合。これを出し忘れると公費は1円も出ません公費負担
燃料代の確認申請書選挙カーの燃料を公費で賄う場合。高砂市の例では、選挙期日以降の指定された期限までに提出します公費負担
選挙公報掲載申請書・原稿・写真選挙公報に載せる場合。写真は白黒で用意します。高砂市・柳井市では告示日の午後5時までが期限です広報
公費負担の契約届出は、忘れると取り返しがつきません

選挙カー・ポスター・ビラの費用を自治体に負担してもらうには、業者との契約書の写しを添えて契約届出書を提出する必要があります。契約が立候補届出より前なら立候補届出のとき、後なら契約締結後ただちに提出します。この届出がないと、上限内の契約であっても公費は支払われず、全額が自己負担になります。公費負担の対象・上限額は国の政令基準に準じて各自治体の条例で定められるため、金額も対象品目も自治体によって異なります。

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事前審査という仕組み

あまり知られていませんが、多くの選挙管理委員会は事前審査(予備審査)を実施しています。告示日を待たずに、書類を持ち込んで点検してもらえる仕組みです。

これを使わない手はありません。告示日当日は届出の受付順によってポスター掲示場の番号や選挙公報の掲載順が決まることがあり、窓口は朝から混み合います。その場で「戸籍謄本の氏名と届出書の記載が違う」と指摘されても、直す時間はありません。

事前審査で不備を潰しておけば、当日は書類を出すだけで済みます。供託も事前審査の日までに済ませておくのが実務の流れです。柳井市は「立候補を予定される方は必ず説明会に出席いただくとともに事前審査を必ずお受けいただきますよう」と案内しています。選挙公報を発行する自治体では、短い選挙運動期間のうちに印刷と全戸配布を終える必要があるため、原稿の事前チェックが前提になっているのです。

事前審査でよく止まる5点

  • 氏名の字体——旧字体と新字体の違い。戸籍の字をそのまま写します
  • 本籍の表記——「〇丁目」と「〇-」の書き分け、字(あざ)の省略
  • 年齢の基準日——届出日ではなく投票日現在の満年齢です
  • 供託証明書の氏名——候補者本人の氏名が記載されているか。代理人供託なら委任状も
  • 契約書の写しの中身——有償契約になっているか、公費負担の上限を超える単価が書かれていないか

届出より前に決めておく3つのこと

書類の様式は説明会で手に入ります。しかし中身を決めるのは候補者自身です。当日あわてないために、先に決めておくべきものが3つあります。

1. 出納責任者を誰にするか

法180条は、選挙運動に関する収入と支出の責任者を1人選任することを義務づけています。候補者本人が兼ねても構いません。選任したら、出納責任者が支出できる金額の最高額を文書で定め、候補者と出納責任者の双方が署名押印します(法180条2項)。

この「最高額」の上限は法令で決まっています。法194条と施行令127条により、指定都市以外の市議会議員選挙の制限額は501円 ×(選挙人名簿登録者数 ÷ 議員定数)+ 220万円です。100円未満の端数は100円に切り上げます。

選挙運動費用の法定制限額(指定都市以外の市議会議員選挙の場合)

人数割額501円 × 登録者数÷定数自治体ごと + 固定額220万円 = 制限額告示日に確定

人数割額と固定額は選挙の種類ごとに施行令127条で定められています(町村議会議員選挙は1,120円+90万円、都道府県議会議員選挙は83円+390万円、指定都市以外の市長選挙は81円+310万円)。登録者数は告示日現在の数で確定するため、制限額も告示日に確定します。選挙の種類別の目安は選挙の費用相場の記事で試算できます。

2. 選挙事務所をどこに置くか

選挙事務所は候補者1人につき1箇所までです(法131条1項5号)。移動は1日につき1回を超えてできません。候補者や支援者の自宅を事務所として届け出ることもできます。届出を出さないと選挙運動に関する事務や打ち合わせの場を持てないため、場所は事前に押さえておきます。

3. 報酬を払う人を何人にするか

選挙運動は原則として無報酬ですが、法197条の2は例外として、事務員・車上運動員・手話通訳者・要約筆記者への報酬を認めています。人数にも単価にも上限があります。施行令129条の定めは次のとおりです。

選挙の種類報酬を支給できる人数(1日あたり)
都道府県の議会の議員12人
指定都市の議会の議員12人
指定都市の長34人
指定都市以外の市議会の議員9人
指定都市以外の市長12人
町村の議会の議員7人
町村長9人

単価の上限は、事務員が1人1日につき1万5,000円以内、車上運動員・手話通訳者・要約筆記者が1人1日につき2万円以内です(施行令129条4項)。労務者への報酬は基本日額1万円以内、超過勤務手当は基本日額の5割以内(同条1項2号)。実費弁償では宿泊料が1夜2万3,000円、弁当料が1食1,500円・1日4,500円、茶菓料が1日1,000円という基準が定められています。

18歳未満の人は選挙運動に関われません

年齢18歳未満の人は選挙運動をすることができず、誰も18歳未満の人を使って選挙運動をすることはできません。ボランティアとしてでも、です。家族の手伝いを前提に人員を数えるときは注意してください。

選挙の種類別の供託金 選挙の種類別の供託金(公職選挙法92条1項) 一定の得票があれば返還されます。届出のときに現金等で法務局へ預けます 都道府県知事 300万円 指定都市の長 240万円 指定都市以外の市長 100万円 都道府県の議会の議員 60万円 指定都市の議会の議員/町村長 50万円 指定都市以外の市議 30万円 町村の議会の議員 15万円
図2:選挙の種類別の供託金(公職選挙法92条1項)。地方議員に挑戦する場合はピンクの2つが該当します

告示日当日はこう動く

当日の流れは自治体によって違いますが、多くの市区町村で次のような形になります。説明会で配られる資料に正確な時間と場所が書かれているので、そちらを基準にしてください。

  1. 受付開始前に会場へ着く受付順でポスター掲示場の番号や選挙公報の掲載順が決まる自治体では、朝のうちに人が並びます。くじで決める自治体もあります。扱いは説明会で確認してください。
  2. 届出書を提出し、受理を待つ事前審査を受けていれば、書類を出して確認を受けるだけです。選挙長は、被選挙権がない人や重複立候補の禁止に触れる人の届出を却下しなければなりません(法86条の4第9項)。
  3. 証票類を受け取る選挙運動用自動車の表示板、拡声機の表示板、腕章、ビラに貼る証紙など。これらがないと、その手段を使った選挙運動ができません。
  4. 選挙公報の原稿を提出する高砂市・柳井市では告示日の午後5時まで。原稿は事前審査のときに出しておくのが望ましいとされています。
  5. 選挙運動を始める届出が受理された時点から、投票日の前日まで。市議会議員選挙なら7日間です。何ができて何が禁止されているかは公職選挙法の基本の記事で整理しています。
届出が受理されるまで、選挙運動はできません

告示日より前にできるのは政治活動です。「投票してください」と呼びかける選挙運動は、届出が受理されてからになります。この線引きを誤ると事前運動として処罰の対象になります。政治活動として何ができるかは地盤・看板・カバンの記事と当選戦略の記事で解説しています。

期限のあるものを一覧にする

立候補届出のあとにも、期限のある手続きがあります。見落としやすいものを、根拠条文とあわせて並べます。

手続き期限根拠
立候補予定者説明会告示日の約1〜2か月前(自治体が設定)自治体の運用
戸籍謄本の発行法令の定めなし。発行から概ね3か月以内を求める例が多数自治体の運用
供託立候補届出まで(事前審査までに済ませるのが実務)法92条
立候補の届出告示日当日のみ(8時30分〜17時が一般的)。郵送不可法86条の4第1項
選挙公報の掲載申請告示日の午後5時まで(高砂市・柳井市の例)自治体の運用
公費負担の契約届出契約が届出前なら立候補届出時、後なら契約締結後ただちに施行令109条の4ほか
開票立会人(選挙立会人)の届出・承諾書選挙の期日の3日前まで法62条1項
公営施設での個人演説会の申出開催予定日の2日前まで。同一施設につき1回は無料法163条・164条
選挙運動費用の収支報告書選挙の期日から15日以内に精算して提出法189条1項1号

期限や様式は自治体によって差があります。説明会で配られる資料に自治体ごとの正確な日付が書かれているので、そちらを基準にしてください。

つまずきやすいところ

戸籍謄本と届出書の記載が食い違う

もっとも多い不備です。氏名の漢字(旧字体・新字体)、本籍地の表記、住所の番地の書き方。これらが戸籍謄本と1文字でも違うと差し戻されます。届出書を書くときは、戸籍謄本を横に置いて、見ながら書き写してください。

戸籍謄本の取り寄せが間に合わない

本籍地が遠方にある場合、郵送請求に時間がかかることがあります。説明会に出た日に、その足で請求手続きを始めるくらいでちょうどいいと考えてください。法令に有効期間の定めはないものの、自治体の運用として「発行から概ね3か月以内」を求められるため、早すぎてもいけません。

公務員の辞職手続きについて誤解している

公職選挙法89条は、国や地方公共団体の公務員は在職中に候補者となることができないと定めています。しかし事前に辞表を出しておく必要はありません。法90条が、届出によって候補者となったときは「当該公務員の退職に関する法令の規定にかかわらず、その届出の日に当該公務員たることを辞したものとみなす」と定めているためです。つまり立候補を届け出た日に、自動的に退職したものとして扱われます。

ただしこれは法律上の効果の話です。引き継ぎや有給休暇の処理、退職金の扱いといった実務は職場との調整が必要になります。消防団員や水防団員(非常勤)のように、在職したまま候補者になれる職も法89条1項の各号に列挙されています。自分の職がどれに当たるか分からない場合は、所属先の人事担当と選挙管理委員会の両方に確認してください。

なお、議員や長の任期満了による選挙では、現職の議員・長は在職のまま立候補できます(法89条2項)。

公費負担の契約届出を出し忘れる

業者と契約すれば自動的に公費が出ると思い込んでいるケースがあります。届出は候補者側の義務です。選挙カー・ポスター・ビラそれぞれについて、契約届出書と契約書の写しを提出してください。選挙カーを個別契約にした場合は、車両の借入れ・燃料・運転手の3通が必要です。

ビラに証紙を貼らずに配ってしまう

選挙運動用ビラは、選挙管理委員会が交付する証紙を貼らなければ頒布できません(法142条7項)。枚数の上限も種類の上限(2種類以内)もあり、指定都市以外の市議会議員選挙なら4,000枚です。証紙を4,000枚手で貼る作業が発生するため、告示日の受付後すぐに取りかかる人員を確保しておいてください。

よくある質問

立候補予定者説明会に出られない場合はどうなりますか?

代理人の出席を認めている自治体が多いので、まず選挙管理委員会に相談してください。書類の様式はここで配布されるため、何らかの形で受け取る必要があります。欠席したまま告示日を迎えると、書類が揃わず立候補できない事態になりかねません。

無所属だと書類は増えますか?

逆です。減ります。政党名を記載する場合に必要な所属党派証明書が、無所属なら不要になります。政党に所属していないことが手続き上の不利になることはありません。

旧姓や通称で立候補できますか?

通称認定申請書を提出し、認められれば使えます。届出書に書く氏名は本名(戸籍の氏名)でなければならないと施行令89条3項が定めており、通称は選挙公報や投票所の氏名掲示などで使うものです。漢字をかな書きにする場合も通称に当たります。社会的に通用している実態を示す資料の提出を求められることがあるため、使いたい場合は事前審査より前に選挙管理委員会へ相談してください。

届出の受付順に意味はありますか?

自治体によっては、ポスター掲示場の番号や選挙公報の掲載順が受付順(または受付後のくじ)で決まります。告示日の朝に窓口へ人が並ぶのはこのためです。取り扱いは自治体ごとに違うので、説明会で確認してください。

公務員です。いつ辞めればいいですか?

法律上は、立候補を届け出た日に辞職したものとみなされます(法90条)。事前に辞表を出す必要はありません。ただし職場の引き継ぎや退職金の処理といった実務の調整は別途必要です。なお、在職のまま候補者になれる職も法89条1項に列挙されています。会社員の場合は公職選挙法上の制限はありませんが、就業規則や兼業の扱いを確認してください。資格要件は市議会議員になるにはの記事で整理しています。

供託金はいつ返ってきますか?没収されるのはどんな場合ですか?

地方公共団体の議会の議員の選挙では、有効投票の総数を議員定数で割った数の10分の1に得票が届かないと、供託金はその自治体に帰属します(法93条1項3号)。長の選挙では有効投票総数の10分の1です。立候補を取り下げた場合や辞退した場合も没収されます。返還の手続きと時期は供託金の記事で解説しています。

届け出たあとに立候補をやめられますか?

できます。ただし本人届出の場合は告示日のうちに選挙長へ文書で届け出る必要があります(法86条の4第10項、施行令89条7項)。翌日以降は辞退できません。供託金は返ってきません。

選挙にかかるお金の全体像はどれくらいですか?

選挙の種類と自治体の規模で大きく変わります。供託金・ポスター・ビラ・選挙カー・事務所・人件費といった項目別の内訳は市議会議員選挙の費用の記事に、町議会議員選挙の場合は町議会議員選挙の費用の記事にまとめています。公費負担の対象になる品目は条例によって自治体ごとに違うため、必ずご自身の自治体の条例を確認してください。

書類の作成を誰かに頼めますか?

頼めます。私たちMOPPsでは、行政書士が立候補届出の書類作成を代行しています。供託の手続き、公費負担の契約届出、選挙公報の申請まで含めてお引き受けできます。支援会社の選び方そのものを比べたい場合は選挙コンサルの記事もご覧ください。詳しくは手続き・必要書類のページをご覧ください。

まとめ

立候補の届出そのものは告示日の1日で終わります。難しいのは、その日までに書類を漏れなく揃え、決めるべきことを決めておくことです。

  • 立候補予定者説明会に必ず出る——書類の様式はここでしか手に入りません
  • 法令上の必須は4点——届出書・宣誓書・供託証明書・戸籍謄本(抄本)
  • 戸籍謄本は早めに、しかし概ね3か月以内に——法令の定めではなく自治体の運用です
  • 事前審査を活用する——当日の窓口で不備を直す時間はありません
  • 出納責任者・事務所・報酬を払う人数を先に決める——当日では決められません
  • 公費負担の契約届出を忘れない——出さなければ上限内の契約でも公費は0円です

費用の全体像は選挙の費用相場の記事、供託金の詳細は供託金の記事、資格要件は市議会議員になるにはの記事、公費負担の仕組みは選挙公営制度の記事で解説しています。

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出典

  1. e-Gov法令検索「公職選挙法」(昭和25年法律第100号/現行施行版 令和8年法律第27号・2026年9月3日施行。33条5項・62条・86条の4・89条・90条・92条・93条・131条・142条・163条・164条・180条・189条・194条・197条の2) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100
  2. e-Gov法令検索「公職選挙法施行令」(昭和25年政令第89号/現行施行版 令和7年政令第237号・2026年9月24日施行。89条・109条の4・110条の4・127条・129条) https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000089
  3. 高砂市「立候補届に必要な書類」(2025年11月17日更新) https://www.city.takasago.lg.jp/soshikikarasagasu/senkyokanriiinkaijimukyoku/rikkouhomezasu/12688.html
  4. 柳井市「選挙に立候補する際に必要なもの」(2026年7月1日更新) https://www.city-yanai.jp/soshiki/43/senkyorikkouho.html
  5. 熊谷市選挙管理委員会「立候補届出の受付について」 https://www.city.kumagaya.lg.jp/about/soshiki/senkyo/senkyokanriiinkai/oshirase/rikkouho.files/uketuke.pdf
  6. 福岡法務局「公職選挙法による供託手続について」 https://houmukyoku.moj.go.jp/fukuoka/page000001_00724.pdf
  7. 総務省「選挙権と被選挙権」 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo02.html
  8. 総務省「国会提出法案(第222回国会)」地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(2026年10月16日提出・概要) https://www.soumu.go.jp/main_content/001096558.pdf
  9. 参議院「議案情報 第222回国会 閣法第16号」(審議状況) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/222/meisai/m222080222016.htm

株式会社MOPPs/0円選挙.COM

選挙運動・政治活動支援/立候補手続きの行政書士代行

京都大学大学院の現役社会人学生を中心とした学生ベンチャーです。政治現場10年以上の実務者、政策立案の経験者、法科大学院出身者、AI研究者が在籍しています。選挙カー・ポスター・ビラを公費負担の範囲内で手配し、候補者の持ち出しを0円に近づける支援を行っています。TEL 050-8885-6420/senkyo@mopps.co.jp

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