選挙の質問50問に条文で答えます|費用・手続き・選挙運動・法律をまとめて解決

選挙に出ようと思って調べ始めると、質問ばかりが増えていきます。供託金はいくらか。公費負担はどこまで使えるか。ポスターは何枚貼れるのか。会社を辞めなければいけないのか。ひとつ調べるたびに、知らなかったことが2つ見つかります。
この記事は、私たちが実際に相談の場でいただいた選挙の質問を50問に整理して、法律の条文と自治体の公表値で答えたものです。費用・手続き・選挙運動・法律・準備の5つに分けました。気になるところだけ読んでも構いません。答えの先に詳しい記事があるものは、リンクを付けています。
この記事でわかること
結論:選挙の質問は5つの箱に分かれます
選挙の質問が無限にあるように見えるのは、性質の違う問いが混ざっているからです。お金の話、書類の話、運動の話、法律の話、段取りの話。この5つに分けると、自分がいま何を知らないのかがはっきりします。
50問に共通する答えを先に3行で
- 「一律に決まっているもの」と「自治体ごとに違うもの」を分けて考えてください。供託金・運動期間・ビラの枚数は法律で全国同じです。公費負担の上限額だけが条例で変わります
- 公費負担の対象になるのは、ポスター・ビラ・選挙運動用自動車の3つです。条例の上限内なら自治体が業者に直接支払うため、候補者が立て替える必要はありません
- 締め切りが1日しかない手続きがあります。立候補の届出は告示日当日だけ。ここを外すと、ほかの準備がすべて無駄になります
「何から聞けばいいのかも分からない」という段階のご相談を歓迎します。ポスターとビラは公費負担の範囲内で制作するため、候補者の持ち出しは0円です。街宣車も手配します。0円選挙.COMで無料お見積もり
費用とお金の質問(Q1〜Q13)
相談でいちばん多いのがここです。順番に読むと、選挙のお金が3つの層に分かれていることが見えてきます。
Q1. 選挙に出るには、最低でいくら必要ですか
避けられないのは供託金だけです。指定都市以外の市議会議員選挙なら30万円、町村議会議員選挙なら15万円。これに加えて、ポスター・ビラ・選挙運動用自動車は条例の上限内であれば公費負担の対象になります。残るのは選挙事務所の家賃や人件費など公費負担の対象外の費用で、ここは工夫の余地があります。種別ごとの相場は選挙の費用相場を選挙種別に完全比較でまとめています。
Q2. 供託金はいくらですか
公職選挙法第92条第1項が選挙の種類ごとに定めています。町村議会議員15万円、指定都市以外の市議会議員30万円、町村長50万円、指定都市の議会の議員50万円、都道府県議会議員60万円、指定都市以外の市長100万円、指定都市長240万円、都道府県知事300万円です。条文で決まっているため全国どこでも同額で、自治体による違いはありません。
Q3. 供託金は戻ってきますか
一定の得票があれば戻ってきます。地方公共団体の議会の議員の選挙では、有効投票の総数を議員定数で割った数の10分の1に達すれば没収されません(第93条第1項第3号)。長の選挙は有効投票の総数の10分の1です(同項第4号)。落選しても、この得票に届いていれば返還されます。計算の詳しい手順は選挙の供託金はいくら?返還条件・没収ラインを選挙別に一覧化で解説しました。
Q4. 供託金はどこに預けますか
法務局(供託所)です。総務省の説明では、候補者ごとに一定額の現金または国債証書を法務局に預け、その証明書を立候補届に提出する仕組みになっています。第92条第1項の条文も「金額又はこれに相当する額面の国債証書」と定めています。供託書の正本は届出書類に添えるため、告示日より前に手続きを済ませておくのが実務上の原則です。
Q5. 供託金が返ってこないのはどんなときですか
第93条第1項が定める得票に達しなかったときです。加えて同条第2項により、立候補の届出を取り下げた場合、候補者であることを辞した場合、届出が却下された場合も没収の対象になります。没収された供託物は、地方選挙ではその地方公共団体に帰属します。「出るだけ出てみる」が通らない仕組みになっているわけです。
Q6. 公費負担とは何ですか
選挙運動の費用の一部を自治体が負担する制度で、選挙公営制度と呼ばれます。総務省は「お金のかからない選挙のため、また、候補者間の選挙運動の機会均等を図るために採用されている制度」と説明しています。候補者が業者と有償契約を結び、選挙管理委員会に届け出ると、業者が自治体に請求して自治体が業者に直接支払います。制度の全体像は選挙公営制度とは?使える範囲と申請の流れにまとめました。
Q7. 公費負担でまかなえるのは何ですか
地方選挙では、選挙運動用自動車の使用(第141条第8項)、選挙運動用ビラの作成(第142条第11項)、選挙運動用ポスターの作成(第143条第15項)の3つです。いずれも「条例で定めるところにより」無料とすることができる、という書き方になっています。つまり条例を置いていない自治体では対象になりません。品目ごとの詳細は選挙ポスターの公費負担と選挙カーの公費負担で扱っています。
Q8. 公費負担の金額はどこで決まりますか
各自治体の条例です。総務省の選挙公営の一覧でも、地方選挙のポスター・ビラ・自動車は「都道府県又は市町村の条例により公営で行うことができるもの」と区分されています。実例を挙げると、浦安市はポスター1枚1,981円・上限449,687円、ビラ1枚8円38銭。坂祝町はポスター1か所14,292円・上限328,716円、ビラ1枚7円73銭です。同じ3品目でも単価が違います。
Q9. 公費負担はいったん立て替えが必要ですか
原則として不要です。浦安市は「支払いは候補者に対して行われるものではなく、契約した業者が選挙管理委員会に直接請求する」と公表しています。ただし条例の限度額を超えた部分は候補者の負担になるため、契約の段階で単価を確認しておくことが大切です。私たちがお手伝いする場合は、この単価の確認から一緒に行います。
Q10. 公費負担の対象外になる費用は何ですか
選挙事務所の家賃と設備、運動員への報酬、ポスターやビラのデザイン制作費、通信費、のぼり旗やたすきなどの資材です。ここが実際の持ち出しになります。事務所費の相場は選挙事務所の費用はいくら?で、資金の集め方は選挙資金の集め方と使い方でそれぞれ扱っています。
Q11. 法定制限額とは何ですか
選挙運動に使ってよい金額の上限です(第194条)。「かかる額」ではなく「超えてはいけない額」なので、使い切る必要はまったくありません。計算式は施行令第127条が定めており、人数割額と固定額を足して求めます。超えると第247条の選挙費用法定額違反になり、出納責任者が処罰されます。
Q12. 法定制限額はいくらですか
有権者数と議員定数で変わります。指定都市以外の市議会議員選挙は人数割額501円・固定額220万円で、人数割の部分は固定額の2倍(440万円)で頭打ちになるため、上限は合計660万円です。町村議会議員選挙は人数割額1,120円・固定額90万円で、こちらには頭打ちの規定がありません。自分の条件での試算は選挙費用のシミュレーションのシミュレーターでできます。
Q13. 選挙資金はどうやって集めればいいですか
自己資金、個人からの寄附、政治団体からの寄附が主な柱です。寄附には政治資金規正法による量的・質的な制限があり、国や地方公共団体と請負関係にある者からの寄附は制限されています。集めた資金はすべて収支報告の対象になるため、最初から記録を残す体制をつくっておいてください。
法定制限額の計算式(第194条・施行令第127条)
延岡市が公表している市議会議員選挙の計算例(選挙人名簿登録者数108,100人・議員定数29)を、条文の算式で再現したものです。第194条第2項により100円未満の端数は100円として扱います。人数割の部分は固定額の2倍で頭打ちになるため、この選挙の上限は660万円です。数字は選挙ごとに変わります。
立候補の手続きの質問(Q14〜Q25)
手続きの質問は、締め切りが決まっているものから順に押さえてください。とくに立候補の届出は、動かせない1日です。
- 被選挙権を確認する。年齢と、議員の場合は住所の要件を満たしているかを見ます(第10条・第9条第2項)
- 立候補予定者説明会に出る。選挙管理委員会が告示の数か月前に開き、書類一式と自治体ごとの公費負担の限度額が配られます
- 供託する。法務局で手続きし、供託書の正本を受け取ります。告示日より前に済ませます
- 書類を揃える。候補者届出書、宣誓書、戸籍の謄本または抄本、所属党派証明書などを準備します
- 告示日に届け出る。受付は午前8時30分から午後5時まで。この日の1日限りです
Q14. 立候補できる年齢は何歳からですか
市町村の議会の議員と市町村長、都道府県の議会の議員は満25歳以上です。都道府県知事は満30歳以上です(第10条第1項)。年齢は選挙の期日で算定します(同条第2項)ので、告示日に24歳でも投票日に25歳を迎えるなら立候補できます。
Q15. 住んでいない市町村の選挙に立候補できますか
議会の議員の選挙はできません。市町村の議会の議員の被選挙権は「その選挙権を有する者」に限られ(第10条第1項第5号)、選挙権には引き続き3か月以上その市町村に住所を有することが必要です(第9条第2項)。一方、市町村長と知事にはこの住所要件がありません。立候補の全体像は選挙に立候補するには|手続き・必要書類・期限の完全ガイドで確認してください。
Q16. 立候補の届出はいつできますか
告示があった日の1日間だけです。総務省も「立候補の届出期間は、選挙の期日の公示または告示があった日の1日間だけ」「受付時間は、休日平日を問わず午前8時30分から午後5時まで」と明示しています。郵便等による届出は認められておらず、文書を持参する必要があります(第86条の4第1項)。
Q17. 届出に必要な書類は何ですか
第86条の4第3項・第4項が、氏名・本籍・住所・生年月日・職業・所属政党名などを記載した文書と、被選挙権があることを誓う宣誓書、政党名を記載する場合はその政党の証明書などを求めています。実際の様式と部数は自治体ごとに異なるため、立候補予定者説明会で配られる一覧で確認してください。私たちは行政書士がこの書類作成を代行します。
Q18. 本名以外の名前で立候補できますか
通称使用の申請が認められれば可能です。総務省の説明では、立候補届には戸籍上の氏名を書きますが、本名以外で広く通用している通称があれば、届出と同時に申請して認められれば告示・選挙公報・政見放送で使えます。本名を仮名書きにする場合も、この申請が必要です。
Q19. 会社員のまま立候補できますか
民間企業の社員であれば、法律上は在職のまま立候補できます。制限されているのは公務員です。ただし選挙運動期間は朝から夜まで動くことになるため、実務では休職や有給の集中取得で対応している方が多いです。当選後の兼職については、地方自治法が定める兼業禁止の規定を確認してください。
Q20. 公務員でも立候補できますか
原則として在職中は立候補できません(第89条第1項)。国や地方公共団体の公務員、行政執行法人や特定地方独立行政法人の役員・職員が対象です。ただし大臣・副大臣・大臣政務官などは除かれ、非常勤の消防団員や水防団員も対象外とされています(同項第1号〜第5号)。該当しそうな場合は、所属先と選挙管理委員会の両方に確認してください。
Q21. 2つの選挙に同時に立候補できますか
できません。第87条第1項が「一の選挙において公職の候補者となつた者は、同時に、他の選挙における公職の候補者となることができない」と定めています。衆議院の小選挙区と比例代表の重複立候補だけが例外的に認められているもので、地方選挙では市議会議員選挙と市長選挙に同時に出ることはできません。
Q22. 届出の順番はどう決まりますか
受付場所への到着順です。ただし総務省の説明によると、受付開始時間前に到着した者の間の順番は、公平を期すためくじ引きで決めます。この順番は選挙公報の掲載順やポスター掲示場の番号に影響するため、告示日の朝は早めに動く陣営が多いです。
Q23. 立候補をやめたいときはどうしますか
辞退できるのは届出期間中、つまり告示日の当日に限られます(第86条の4第10項)。文書で選挙長に届け出る必要があります。辞退した場合、供託物は第93条第2項により没収の対象になります。告示日を過ぎてからは辞退できません。
Q24. 選挙運動期間は何日間ですか
告示日から投票日の前日までです。告示の日数は第33条第5項が定めており、都道府県知事は少なくとも17日前、指定都市の長は14日前、都道府県議会議員と指定都市議会議員は9日前、指定都市以外の市議会議員と市長は7日前、町村議会議員と町村長は5日前です。市議会議員選挙なら実質7日間ということになります。
Q25. 無投票になったら費用はどうなりますか
公費負担の対象になる日数が縮みます。浦安市と坂祝町はいずれも、無投票の場合の選挙運動用自動車の費用は告示日の1日分のみが対象になると公表しています。期間の日数で上限を計算する仕組みなので、運動期間が1日で終われば上限もその分になります。扱いは条例によるため、該当しそうな場合は選挙管理委員会にご確認ください。
選挙運動の質問(Q26〜Q38)
選挙運動のルールは「できないこと」が条文に並んでいます。まず禁止されていることを押さえると、できることの輪郭が見えます。
| やろうとしていること | 可否 | 根拠と条件 |
|---|---|---|
| 告示前に選挙運動をする | できない | 第129条。選挙運動は届出のあった日から投票日前日までに限られます |
| 有権者の家を1軒ずつ訪ねて投票を頼む | できない | 第138条第1項。戸別に名前を言い歩く行為も禁止です(同条第2項) |
| 署名を集めて投票を呼びかける | できない | 第138条の2。選挙に関する署名運動は禁止です |
| 支援者に食事をふるまう | できない | 第139条。湯茶と通常の菓子を除き、飲食物の提供は禁止です |
| 選挙事務所で運動員に弁当を出す | 条件つき | 第139条ただし書。15人分(45食分)×運動期間の日数が上限です |
| 車を連ねて走り、気勢を張る | できない | 第140条。自動車を連ね、隊伍を組んで往来する行為は禁止です |
| 夜9時に駅前で演説する | できない | 第164条の6。午後8時から翌日午前8時までの街頭演説は禁止です |
| 自分のウェブサイトやSNSで投票を呼びかける | できる | 第142条の3第1項。連絡先の表示が必要です(同条第3項) |
| 有権者にメールで投票を呼びかける | 条件つき | 第142条の4。候補者・政党等に限られ、送信先にも制約があります |
| 選挙運動を手伝った人に報酬を払う | 条件つき | 第197条の2。事務員・車上運動員など届け出た者に、員数と日額の範囲内でのみ可能です |
Q26. いつから選挙運動していいですか
立候補の届出があった日からです(第129条)。それより前の選挙運動は事前運動として禁止されています。告示日の朝に届出を済ませてから、その日のうちに運動を始めるのが通常の流れです。
Q27. 告示前に名前を知ってもらう方法はありますか
政治活動としてなら可能です。投票の依頼をせず、自分の政策や考えを広める活動は選挙運動とは区別されます。ただし境界は行為の目的で判断されるため、個別の表現が許されるかは選挙管理委員会への確認が確実です。線引きの考え方は公職選挙法をわかりやすく解説で整理しました。
Q28. ポスターは何枚貼れますか
市町村が設置したポスター掲示場に、1か所あたり1枚だけです(第143条第4項)。掲示場の数は自治体が決めるため、浦安市は227か所、坂祝町は23か所と大きく違います。掲示場以外の場所に勝手に貼ることはできません。
Q29. ポスターの大きさに決まりはありますか
長さ42センチメートル、幅40センチメートルを超えてはなりません(第143条第13項)。選挙事務所を表示するポスター・立札・看板の類は縦350センチメートル・横100センチメートル以下で、事務所ごとに通じて3つまで(同条第7項・第10項)。選挙運動用自動車に取り付けるものは縦273センチメートル・横73センチメートル以下です(同条第11項)。
Q30. ビラは何枚配れますか
第142条第1項が選挙ごとに定めています。指定都市以外の市議会議員選挙は4,000枚、町村議会議員選挙は1,600枚、都道府県議会議員選挙は16,000枚、指定都市以外の市長選挙は16,000枚、町村長選挙は5,000枚です。種類は2種類以内で、選挙管理委員会が交付する証紙を貼らなければ頒布できません(同条第7項)。
Q31. ビラはどこで配れますか
第142条第6項により、新聞折込みその他政令で定める方法に限られます。坂祝町は具体的に、新聞折込、候補者の選挙事務所内、個人演説会の会場内、街頭演説の場所に限定されると公表しています。駅前で通行人に手渡す行為も、街頭演説の場所であれば認められる形です。散布は禁止されています(同条第1項)。大きさは長さ29.7センチメートル・幅21センチメートル以下(同条第8項)、つまりA4判までです。印刷の実務は選挙ビラの印刷で扱っています。
Q32. 選挙カーは何台使えますか
1台だけです。地方公共団体の議会の議員・長の選挙では、候補者1人について自動車1台または船舶1隻、そして拡声機1そろいに限られます(第141条第1項第1号)。個人演説会の会場で別に1そろいの拡声機を使うことは認められています(同項ただし書)。
Q33. 街宣車はどんな車でもいいですか
乗車定員10人以下で、車両総重量3.5トン未満のものに限られます(第141条第6項)。選挙管理委員会が定める表示をする必要もあります(同条第5項)。公費負担の対象になるのは、一般運送契約なら1日64,500円まで、個別契約なら借入れ16,100円・燃料7,700円・運転手12,500円が1日の上限という形です(施行令第109条の4第2項。地方選挙では条例で定めるため金額は自治体によって異なります)。
Q34. 街頭演説は何時までできますか
午後8時までです。第164条の6第1項が「何人も、午後八時から翌日午前八時までの間は、選挙運動のため、街頭演説をすることができない」と定めています。朝は午前8時からです。選挙運動用自動車での連呼行為にも同様の時間制限があります。
Q35. 戸別訪問はできますか
できません。第138条第1項が、投票を得る目的での戸別訪問を禁止しています。さらに同条第2項で、戸別に演説会の開催を告知する行為や、候補者の氏名を言い歩く行為も同じ禁止行為とみなされます。地盤のない新人がどう支持を広げるかは地盤・看板・カバンがない人の戦い方で扱いました。
Q36. ボランティアにお金を払えますか
報酬を払えるのは、届け出た一部の人だけです(第197条の2第2項・第5項)。対象は事務員、選挙運動用自動車の上で運動する者、手話通訳者、要約筆記者で、日額の基準は施行令第129条第4項により事務員が1人1日15,000円以内、車上運動員・手話通訳者・要約筆記者が1人1日20,000円以内です。員数は同条第3項が定め、指定都市以外の市議会議員選挙は9人、町村議会議員選挙は7人です。これ以外の人に運動の対価を払うと買収罪に触れます。
Q37. 選挙事務所は何箇所つくれますか
地方公共団体の議会の議員・市町村長の選挙では、候補者1人につき1箇所です(第131条第1項第5号)。移動は1日1回までに限られます(同条第2項)。交通困難等の状況がある区域については政令で例外が定められています。
Q38. 弁当やお茶は出せますか
湯茶とそれに伴う通常の菓子は、飲食物の提供の禁止から除かれています(第139条)。弁当はただし書で例外が認められ、選挙運動に従事する者と労務者を通じて15人分(45食分)に運動期間の日数を乗じた数までです。市議会議員選挙なら7日間なので105人分(315食分)が上限になります。弁当料の基準は1食1,500円・1日4,500円(施行令第129条第1項第1号ヘ)です。
「知らなかった」では済まないところです
選挙運動の制限は、候補者本人だけでなく支援者にも適用されます。善意で手伝ってくれた人の行為が連座制の対象になることもあります。運動を始める前に、陣営全員で禁止事項を共有してください。判断に迷う行為は、選挙管理委員会に事前に確認するのがいちばん確実です。
公職選挙法と罰則の質問(Q39〜Q45)
Q39. SNSで選挙運動できますか
できます。第142条の3第1項により、ウェブサイト等を利用する方法での文書図画の頒布が認められており、ここにSNSやブログ、動画サイトが含まれます。候補者だけでなく有権者も使えます。条件は、自分の電子メールアドレス等の連絡先が受信者の画面に正しく表示されるようにすることです(同条第3項)。投票日の前日までに投稿したものは、当日もそのまま置いておけます(同条第2項)。
Q40. メールで選挙運動できますか
候補者と一定の政党等に限られます(第142条の4第1項)。有権者がメールで選挙運動をすることはできません。候補者が送る場合も、あらかじめ送信を求めるか同意する旨を通知し、自分でアドレスを知らせた相手に限られます(同条第2項)。送信を拒否する通知を受けたら、そのアドレスへの送信はできません(同条第6項)。記録の保存義務もあります(同条第5項)。
Q41. 支援者が自分のSNSで応援するのは違法ですか
ウェブサイト等を利用する方法であれば、有権者も選挙運動ができます。応援の投稿やシェアは可能です。ただし有権者はメールでの選挙運動ができないため、投稿のコピーをメールで一斉送信する行為は避けてください。また、候補者の経歴などについて虚偽の事項を公表すると、選挙妨害として処罰の対象になります。
Q42. 選挙区の人にお金や品物を渡せますか
できません。第199条の2第1項が、候補者・候補者になろうとする者・公職にある者が、選挙区内にある者への寄附を名義を問わず禁止しています。総務省も、冠婚葬祭の贈答や花輪・香典が寄附に当たることを注意喚起しています。有権者が求めてもいけません(同条第3項)。例外は政党等と親族に対する場合などに限られます。
Q43. 当選のお礼はしていいですか
方法が限られます。第178条が、選挙期日後に当選・落選について選挙人にあいさつする目的で、戸別訪問をすること、文書図画を頒布・掲示すること、当選祝賀会その他の集会を開催すること、自動車を連ねて気勢を張ること、当選人の氏名を言い歩くことなどを禁止しています。例外として認められているのは、自筆の信書、祝辞や見舞への答礼の信書、そしてインターネット等を利用する方法で頒布する文書図画です。
Q44. 連座制とは何ですか
陣営の一定の関係者が買収などの罪で刑に処せられたとき、候補者本人が関わっていなくても当選が無効になり、立候補も制限される制度です(第251条の2)。対象は選挙運動の総括主宰者、出納責任者、地域の運動を主宰した者、そして候補者の父母・配偶者・子・兄弟姉妹や秘書で候補者等と意思を通じて運動したものです。立候補の禁止は5年間、同じ選挙区の同じ公職についてです。
Q45. 選挙違反をするとどうなりますか
罰金や拘禁刑に加えて、選挙権と被選挙権が停止されます。第252条第1項は、選挙犯罪で罰金の刑に処せられた者は裁判が確定した日から5年間、選挙権と被選挙権を有しないと定めています。拘禁刑の場合は刑の執行が終わるまでとその後5年間です(同条第2項)。買収罪などを重ねた場合は10年間になります(同条第3項)。
準備と相談の質問(Q46〜Q50)
Q46. 収支報告書はいつ出しますか
選挙の期日から15日以内です(第189条第1項第1号)。出納責任者が、収入と支出を記載した報告書に領収書などの写しを添えて、選挙管理委員会に提出します。真実の記載がなされていることを誓う文書も必要です(同条第3項)。その後に生じた収入・支出は、生じた日から7日以内に提出します(同項第2号)。領収書は選挙の途中から集め始めると間に合いません。
Q47. 地盤・看板・カバンがなくても戦えますか
戦えます。カバン(資金)については、公費負担がポスター・ビラ・選挙運動用自動車という最も金額の大きい3品目を覆います。看板(知名度)はウェブサイト等を利用する方法が有権者にも開かれたことで、以前より埋めやすくなりました。地盤の代わりに何を積み上げるかは選挙の当選戦略と市議会議員になるにはで具体的に書いています。
Q48. 準備はいつから始めるべきですか
投票日から逆算してください。告示後の運動期間は市議会議員選挙で7日、町村議会議員選挙で5日しかありません。勝負はそれ以前の政治活動の期間で決まります。供託金の用意、書類の準備、印刷物の制作にはそれぞれリードタイムがあります。逆算の具体的な組み方は選挙準備のスケジュールでまとめました。
Q49. 2027年の統一地方選に出るなら、今何をすべきですか
まず自分の自治体の条例を確認することです。公費負担の限度額表が手に入れば、持ち出しの見通しが立ちます。次に被選挙権の住所要件です。引っ越しを考えている場合、議会の議員の選挙は引き続き3か月以上の住所が必要なので、転入の時期が制約になります。準備項目の一覧は2027年統一地方選の準備リストにあります。
Q50. MOPPsに相談すると何をしてもらえますか
公費負担条例の確認と限度額の試算、ポスター・ビラの制作、街宣車の手配、立候補届出書類の行政書士による代行まで一括で対応します。ポスターとビラは公費負担の範囲内で制作するため、候補者の持ち出しは0円です。私たちは京都大学大学院の現役社会人学生を中心としたチームで、政治現場10年以上の実務者と法科大学院出身者が在籍しています。コンサルティングの相場との比較は選挙コンサル・選挙プランナーの費用相場と選び方をご覧ください。ご相談は無料です。
- 自分の自治体の公費負担の限度額表を手に入れた
- 供託金の金額と没収ラインを確認した
- 被選挙権の年齢と住所の要件を満たしていることを確認した
- 立候補予定者説明会の日程を調べた
- 告示日と投票日をカレンダーに入れた
- 陣営で共有する禁止事項の一覧をつくった
- 領収書を保管する担当と方法を決めた
数字の早見表
50問のうち、数字で答えられるものをまとめました。供託金・告示日数・ビラの枚数・報酬を払える人数は、すべて法律と政令で全国同じです。
| 選挙の種類 | 供託金 | 告示 | ビラ | 報酬の員数 |
|---|---|---|---|---|
| 町村議会議員 | 15万円 | 5日前 | 1,600枚 | 7人 |
| 町村長 | 50万円 | 5日前 | 5,000枚 | 9人 |
| 指定都市以外の市議会議員 | 30万円 | 7日前 | 4,000枚 | 9人 |
| 指定都市以外の市長 | 100万円 | 7日前 | 16,000枚 | 12人 |
| 指定都市の議会の議員 | 50万円 | 9日前 | 8,000枚 | 12人 |
| 指定都市の長 | 240万円 | 14日前 | 70,000枚 | 34人 |
| 都道府県議会議員 | 60万円 | 9日前 | 16,000枚 | 12人 |
| 都道府県知事 | 300万円 | 17日前 | 100,000枚 | 50人 |
ビラの枚数は第142条第1項、告示の日数は第33条第5項、報酬を支給できる員数は施行令第129条第3項によるものです。知事選挙のビラ100,000枚は都道府県内の衆議院小選挙区の数が1の場合で、1つ増えるごとに15,000枚が加算され、上限は300,000枚です。
発注先をばらばらに探した場合
持ち出しが発生
公費負担の限度額を知らずに契約すると、超過分が自己負担になります。デザイン制作費は公費負担の対象外なので、見積の内訳を分けて確認する必要があります
限度額を確認してから発注した場合
持ち出しを0円に近づける
条例の単価の範囲内でポスターとビラを発注すれば、この2品目は公費でまかなえます。街宣車も公費負担の対象です
金額は自治体の条例によって異なります。公費負担を受けるには、供託物が没収されない得票が必要です。
条例の確認から見積の内訳のチェックまで、私たちが代わりに行います。市議会議員選挙の費用の内訳も合わせてご覧ください。0円選挙.COMで無料お見積もり
まとめ:質問を分けると、動ける順番が見えます
選挙の質問は、お金・手続き・運動・法律・準備の5つに分かれます。このうち供託金・運動期間・ビラの枚数・報酬の員数は法律と政令で全国同じなので、一度覚えれば使い回せます。自治体ごとに違うのは公費負担の限度額だけです。
そして締め切りが1日しかない手続きがあります。立候補の届出は告示日当日の午前8時30分から午後5時まで。ここに間に合わせるために、供託と書類の準備を前倒しする。この1点を押さえておけば、残りの準備は順番に片づけられます。まずはお住まいの自治体の公費負担の限度額表を手に入れることから始めてください。
50問に入っていない質問も、0円選挙.COMの無料相談でお答えします
公費負担条例の確認と限度額の試算、ポスター・ビラの制作、街宣車の手配、立候補届出書類の行政書士による代行まで一括で対応します。選挙ポスターとビラは公費負担の範囲内で制作するため、候補者の持ち出しは0円です。街宣車も手配します。「何を聞けばいいのか分からない」という段階のご相談を歓迎します。TEL 050-8885-6420/senkyo@mopps.co.jp
出典
- e-Gov法令検索「公職選挙法」(昭和25年法律第100号。第9条第2項、第10条、第33条第5項、第86条の4、第87条、第89条、第92条第1項、第93条、第129条、第131条、第138条、第138条の2、第139条、第140条、第141条、第142条、第142条の3、第142条の4、第143条、第164条の6、第178条、第189条、第194条、第197条の2、第199条の2、第247条、第251条の2、第252条) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100
- e-Gov法令検索「公職選挙法施行令」(昭和25年政令第89号。第109条の4、第109条の8、第110条の4、第127条、第129条) https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000089
- 総務省「なるほど!選挙 立候補」(立候補の届出期間は告示日の1日間、受付時間は午前8時30分から午後5時まで、通称使用の申請、立候補の辞退、供託、届出受理の順番) https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo14.html
- 総務省「なるほど!選挙 選挙公営」(制度の目的、地方選挙のポスター・ビラ・自動車は都道府県又は市町村の条例により公営で行うことができるものとする区分) https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo16.html
- 総務省「なるほど!選挙 寄附の禁止」(政治家からの寄附禁止、冠婚葬祭の贈答、時候のあいさつの制限) https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo08.html
- 総務省「なるほど!選挙 選挙違反と罰則」(買収罪・利害誘導罪・選挙妨害罪、選挙権・被選挙権の停止、連座制) https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo17.html
- 総務省「なるほど!選挙 選挙人名簿」(市区町村に住所を持つ18歳以上の日本国民で、住民票がつくられた日から引き続き3か月以上住民基本台帳に記録されている人が登録される) https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo07.html
- 浦安市「選挙公営(公費負担)」(自動車 一般運送契約1日64,500円・借入れ16,100円・燃料7,700円・運転手12,500円、ポスター1枚1,981円/上限449,687円/掲示場227か所、ビラ8円38銭 市議4,000枚33,520円・市長16,000枚134,080円、業者が選挙管理委員会に直接請求、無投票の場合は告示日1日分、供託物没収点以上の得票が条件) https://www.city.urayasu.lg.jp/shisei/senkyo/senkyo/1003176.html
- 坂祝町「選挙公営について」(自動車 一般運送契約322,500円・個別契約181,500円/5日、ビラ7円73銭 町議1,600枚12,368円・町長5,000枚38,650円、ポスター14,292円×23か所=328,716円、ビラの頒布方法、無投票の場合の扱い) https://www.town.sakahogi.gifu.jp/administration/administration34.html
- 延岡市「選挙運動費用っていくら?」(登録者数108,100人・定数29で市議会議員選挙4,067,600円、市長選挙11,856,100円の計算例) https://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/soshiki/79/2729.html